一般相対性理論から導かれた、重力に関する定理。ペンローズとホーキングが古典的重力理論(一般相対性理論)によって証明したもので、ペンローズ‐ホーキングの特異点定理ともよぶ。エネルギー密度が正で重力による光束の収斂(しゅうれん)が起こるほど時空が歪(ゆが)んでいる場合(ブラック・ホールのような場合)には、特異点がかならず存在するという定理である。この定理によると、膨張宇宙の始まりの特異点や重力崩壊による特異点が存在することになる。特異点では重力が強すぎて時空(計量)発散するので、因果律を壊すことが予想される。ブラック・ホールの場合、特異点は事象の地平線(光などの電磁波や物質などの観測による情報の伝達が可能な境界)で囲まれるので因果律は保たれると考えられている。しかし事象の地平線で囲まれていない「裸の特異点」が存在すると因果律が壊れることが考えられることになる。そのためペンローズは「裸の特異点」は存在しないという「宇宙検閲官仮説」を提唱しているが真偽は未確定である。この定理は古典的(非量子論的)重力理論により考察されたものなので、量子論が本質的になる領域では成立しないと考えられ、量子論と一般相対性理論を融合した量子重力理論での解明が進められている。
[山本将史 2022年4月19日]
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[時空構造]
どのような質量にせよブラックホールは物質の重力崩壊の結果できる。物質のエネルギーは正であるというような物理的に妥当な条件の下で,重力崩壊により必然的に特異点が生ずることが示されている(特異点定理)。重力崩壊の過程は動的で複雑なものであるが,最終的には,定常な時空構造ができると考えられる。…
※「特異点定理」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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