日本映画。1956年(昭和31)、中平康(なかひらこう)監督。原作は石原慎太郎。春次(津川雅彦(つがわまさひこ)、1940―2018)はリゾート地で出会った恵梨(北原三枝(きたはらみえ)、1933― )に心を奪われ、交際する。だが春次の兄夏久(石原裕次郎)も恵梨と関係をもつ。夏久と恵梨の関係を知った春次は、二人の乗るヨットに自らの運転するモーターボートを体当たりさせる。『太陽の季節』(1956年、古川卓巳(ふるかわたくみ)監督、1917―2018)に続く、いわゆる「太陽族映画」の一本。『太陽の季節』で脇役として俳優デビューした石原裕次郎は、映画出演二作目の本作でスターとなり、日活の方向性、すなわちアクション映画の量産に多大な影響を与えることになる。後にフランスのヌーベル・バーグで重要な役割を果たすフランソワ・トリュフォーは本作を絶賛した。
[石塚洋史 2018年8月21日]
『『世界の映画作家31夏の号 日本映画史』(1976・キネマ旬報社)』▽『『映画史上ベスト200シリーズ 日本映画200』(1982・キネマ旬報社)』▽『佐藤忠男著『日本映画史2、3、4』全4巻・増補版(2006~2007・岩波書店)』▽『猪俣勝人・田山力哉著『日本映画作家全史』上下(現代教養文庫)』▽『文芸春秋編『日本映画ベスト150――大アンケートによる』(文春文庫ビジュアル版)』
敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...