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猪瀬直樹 いのせなおき

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知恵蔵2015の解説

猪瀬直樹

ノンフィクション作家、元東京都知事。1946年、長野県に生まれる。信州大学人文学部に進学、在学中は学生運動にも関わった。卒業後の70年に上京し、職を転々とした後、明治大学大学院に進学。近代政治思想(日本浪漫派、ナショナリズム等)の研究者・橋川文三に師事した。卒業後、ジャーナリスト本田靖春の『誘拐』に刺激を受け、ノンフィクション作家の道に進む。後の盗用疑惑で猪瀬が批判した佐野眞一は、このころ同じ志を持つ仕事仲間であった。
83年、書き下ろしの『天皇の影法師』を出版。36歳という遅咲きの出版デビューだった。87年に『ミカドの肖像』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。テレビ討論番組などメディアの露出も増え、時代の新しい語り手として注目された。その後、精力的な取材・著作活動を続け、『日本凡人伝』『欲望のメディア』『ふるさとを創った男』『ペルソナ三島由紀夫伝』などを出版。
96年には、官僚機構の闇にメスを入れた『日本国の研究』で文藝春秋読者賞を受賞した。これが契機となり、政界に進出。2001年、小泉内閣成立によって発足した「行革断行評議会」委員に選ばれる。翌02年には「道路関係四公団民営化推進委員会」委員に任命され、道路公団を始めとする特殊法人の民営化に尽力するなど、小泉政権の「聖域なき構造改革」を支えた。
07年6月、東京都知事・石原慎太郎から副知事に選任され、石原辞職後の12年12月の都知事選に出馬した。石原から事実上の後継指名を受け、国内選挙では最多の約434万票を得て当選。翌13年9月には、国際オリンピック委員会総会で東京五輪の誘致を成功させた。
しかし、その熱狂覚めやらぬ11月、都知事選直前の「不正献金問題」が発覚。医療グループ「徳洲会」から現金5千万円を受け取ったという問題である。猪瀬は個人的な借用と弁明しているが、都議会での答弁が二転三転したこともあり、求心力は低下。都政停滞の責任をとり、就任から1年目の12月に辞職した。

(大迫秀樹  フリー編集者 / 2014年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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デジタル大辞泉の解説

いのせ‐なおき〔ゐのせなほき〕【猪瀬直樹】

[1946~ ]ノンフィクション作家。長野の生まれ。政府税制調査会行政改革断行評議会・道路関係四公団民営化推進委員会などの委員を歴任。平成19年(2007)東京都副知事に就任、平成24年(2012)より翌年まで東京都知事。西武鉄道グループを描いた「ミカドの肖像」で大宅壮一ノンフィクション賞受賞。他に「天皇の影法師」「日本国の研究」など。

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百科事典マイペディアの解説

猪瀬直樹【いのせなおき】

作家,政治家。長野県飯山市生まれ。両親は小学校教諭。信州大学教育学部付属小学校・同中学校,県立長野高校を経て信州大学人文学部卒業。在学中は新左翼学生運動・全共闘運動に参加。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plusの解説

猪瀬直樹 いのせ-なおき

1946- 昭和後期-平成時代のノンフィクション作家。
昭和21年11月20日生まれ。信州大在学中に全共闘議長をつとめる。卒業後,明大大学院で橋川文三にまなぶ。昭和58年「天皇の影法師」を発表,62年「ミカドの肖像」で大宅壮一ノンフィクション賞,平成8年「日本国の研究」で文芸春秋読者賞をうける。19年東京都副知事。24年都知事に就任。25年医療法人徳洲会グループからの5千万円資金提供問題で都知事を辞任。長野県出身。著作はほかに「昭和16年夏の敗戦」など。

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知恵蔵miniの解説

猪瀬直樹

ノンフィクション作家、政治家。1946年11月20日生まれ、長野県出身。信州大学教育学部附属長野中学校、長野県長野高等学校を経て信州大学人文学部経済学科に入学、学生運動の指導者として69年には信州大学全共闘議長を務めた。卒業後、出版社勤務を経て、72年、明治大学大学院で政治学者の橋川文三に師事し、日本政治思想史を研究。87年には、『ミカドの肖像』で第18回大宅壮一ノンフィクション賞、ジャポニスム学会特別賞を受賞した。96年、雑誌に連載した「日本国の研究」により特殊法人改革の気運を巻き起こし、2001年、小泉内閣の行革断行評議会に参加、翌年には道路関係四公団民営化推進委員会委員に就任した。07年、東京都副知事に就任し、12年10月25日に突如辞任した石原慎太郎知事を補佐し続けた。

(2012-10-29)

出典|(株)朝日新聞出版発行
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

猪瀬直樹
いのせなおき
(1946― )

ジャーナリスト、ノンフィクション作家、政治家。11月20日長野市生まれ。信州大学人文学部卒業後、出版社勤務などを経て明治大学大学院へ。橋川文三(1922―1983)に師事し、ナショナリズムの理論を研究。1983年(昭和58)『天皇の影法師』『昭和16年夏の敗戦』を発表。1986年、テレビの報道番組キャスターとなる。1986年、『ミカドの肖像』(ジャポネズリー研究会特別賞、大宅壮一ノンフィクション賞受賞)で、「土地」「ブランド」「ポップ歌手」「ゲーム」など、これまでにない観点から天皇制を捉えて話題になった。『土地の神話』(1988)では、「土地」という観点から、東京・田園調布という街の成立と東急グループルーツ、近代天皇制国家と大都市東京の成立を探る。『欲望のメディア』(1990)では映像メディアと近代日本をテーマとし、『ミカドの国の記号論』(1991)では、天皇家による「家庭モデル」から、Vサイン、「スピッツ」の消長など、日本社会のさまざまな表象と記号から日本人を解き明かそうとした。1992年(平成4)には『ラストニュース』(弘兼憲史画)の原作を担当し、劇画にも進出(~1995)。
 1996年『文芸春秋』において「日本国の研究」の連載開始。大規模林道や長良(ながら)川河口堰(かこうぜき)、道路公団など、近代日本の負の遺産ともいえる公共事業の暗部についてレポートを開始する。同連載は『文芸春秋』読者賞受賞。単行本は1997年、続編は1999年に刊行されたが、「はこもの」行政の限界や官官接待の実態などが次々と明るみに出るとともに、猪瀬の問題意識は注目を集めるようになる。このように、「日本の近代」という大きなテーマで注目されてきた猪瀬だが、この間には市井(しせい)の人のインタビュー集『日本凡人伝』(1983)や、唱歌を世に送り出した人々を描いた『ふるさとを創った男』(1990)などの著作も発表している。
 『ペルソナ――三島由紀夫伝』(1995)、『マガジン青春譜――川端康成(かわばたやすなり)と大宅壮一(おおやそういち)』(1998)、『ピカレスク――太宰治(だざいおさむ)伝』(2000)の文芸評伝三部作ののち、2001年、『日本の近代――猪瀬直樹著作集』全12巻刊行開始(2002年完結)。
 2000年より政府税制調査会委員。2001年、行革断行評議会委員となり特殊法人などの民営化に取り組む。2002年より司法改革国民会議運営委員、道路関係四公団民営化推進委員会委員。東京工業大学特任教授のほか、メールマガジン『日本国の研究――不安との訣別/再生のカルテ』編集長でもある。2007年6月より東京都副知事、2012年12月より2013年12月まで東京都知事。
 『ミカドの肖像』から『ミカドの国の記号論』までの猪瀬の関心は、近代日本が天皇制との関係においてどのように形成されたかだった。三島、川端、太宰を追った評伝では、近代日本人の自意識が文芸作家においてどのように表現されたかが問題だった。しかし、近代が成熟したときに、近代そのものの限界性も明らかになった。『日本国の研究』からメールマガジンや政府諸委員会の委員に臨む猪瀬に一貫しているのは近代の終わりという問題意識である。[永江 朗]
『『ふるさとを創った男』(1990・日本放送出版協会) ▽『マガジン青春譜――川端康成と大宅壮一』(1998・小学館) ▽『ピカレスク――太宰治伝』(2000・小学館) ▽『日本の近代――猪瀬直樹著作集』全12巻(2001~2002・小学館) ▽『天皇の影法師』(朝日文庫) ▽『昭和16年夏の敗戦』『日本国の研究』『ペルソナ――三島由紀夫伝』(文春文庫) ▽『ミカドの肖像』『土地の神話』『日本凡人伝』(新潮文庫) ▽『ミカドの国の記号論』(河出文庫) ▽猪瀬直樹原作・弘兼憲史画『ラストニュース』(小学館文庫)』

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