玄圃梨(読み)けんぽなし

精選版 日本国語大辞典 「玄圃梨」の意味・読み・例文・類語

けんぽ‐なし【玄圃梨】

〘名〙 クロウメモドキ科の落葉高木。本州、四国、九州および朝鮮、中国の山野に生える。高さ一五メートル、径〇・五メートルに達する。樹皮は暗灰色で浅く縦に裂ける。葉は互生し、柄をもち長さ八~一五センチメートルの広卵形で先はとがり縁に鋸歯(きょし)がある。初夏、枝端または葉腋(ようえき)淡緑色の小さな五弁花を多数集めてつける。果実球形紫黒色に熟す。花序の枝は果時には湾曲して肉質に肥大し、赤みを帯び甘味があって食べられる。果実は疱瘡にきくとされ、生食すると酒酔をさますという。漢名は枳椇または癩漢指頭。けんぽ。けんぽがなし。けんぽのなし。けんぽんなし。《季・秋》 〔俳諧・滑稽雑談(1713)〕

けんぽ‐の‐なし【玄圃梨】

御伽草子・鉢かづき(室町末)「銀にて作りたる、けんぽの梨(ナシ)

けんぽ‐が‐なし【玄圃梨】

浄瑠璃・松風村雨束帯鑑(1707頃)龍神風流「西王母が桃けんぼがなし」

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デジタル大辞泉 「玄圃梨」の意味・読み・例文・類語

けんぽ‐なし【×圃梨】

クロウメモドキ科の落葉高木。山野に自生。葉は広卵形で先がとがる。夏に淡緑色の小花を多数つけ、球形の果実がなる。秋に果実の柄が肥大し、甘く食用となる。 秋》「柴焚くや柴の中なる―/冬葉

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動植物名よみかた辞典 普及版 「玄圃梨」の解説

玄圃梨 (ケンポナシ・ケンポガナシ;ケンポノナシ;ゲンボガナシ;ゲンボノナシ)

学名Hovenia dulcis
植物。クロウメモドキ科の落葉高木,薬用植物

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