ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「玄清」の意味・わかりやすい解説
玄清
げんせい
[没]弘仁14(823)
琵琶法師。天台宗玄清法院流あるいは玄清部ともいわれる九州筑前の盲僧琵琶の開祖。幼名乙丸。父は橘左近尉光政。7歳で伯父知山より受戒して天台宗の僧侶となったが,17歳で失明。盲僧となって筑前三笠郡にあったが,延暦4 (785) 年比叡山延暦寺根本中堂建立に際し,地鎮の法を行うのに参加,その功によって成就院の号を受け,『般若心経』と荒神祓の法を授けられ,帰国して同8年四王寺北谷に成就院を建立。筑紫九ヵ国の盲僧の長となった。大同3 (808) 年に成就院を天台宗叡山末流盲僧本寺とする許しを受け,法眼の位と『地神陀羅尼経』を賜わり,弘仁8 (817) 年には法印の位に進んだ。同 14年 10月,58歳で没したが,これより九州筑前盲僧の琵琶の弾奏誦経の伝承が始められたという。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報