中国、初唐の詩人。絳州(こうしゅう)竜門(山西省河津(かしん)県)の人。字(あざな)は子安。思想家王通(おうとう)(文中子)の孫。生没年は諸説あり、近年は650年誕生説も有力である。666年(乾封1)幽素挙という官吏任用試験に及第して朝散郎となり、高宗の子の沛王(はいおう)の府に召されたが、闘鶏を題として戯れに書いた檄文(げきぶん)が高宗の怒りに触れて免職となった。のち虢州(かくしゅう)(河南省)の参軍となったが、奴隷を殺して処罰され、官吏の資格を奪われた。これに連座して交趾(こうち)(ベトナム)に左遷された父に会いに行く途中、海中に落ち溺死(できし)した。楊炯(ようけい)、盧照鄰(ろしょうりん)、駱賓王(らくひんのう)とともに初唐四傑とよばれ、六朝(りくちょう)末の艶冶(えんや)な詩風を払拭(ふっしょく)することに努力した。著名な「滕王閣(とうおうかく)」詩など、華麗ななかに格調を感じさせる詩風をもち、また律詩に優れ、近体詩の成立にも重要な役割を果たした。『王子安集』16巻がある。
[齋藤 茂]
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…詩の内容は,侍宴応詔など公的なうたげの詩が多く,遊覧の詩がこれに続き,珍しく述懐・詠物・七夕などの詩をも含む。詩句の中には,中国の詩の改作に過ぎないものもあり,また《文選》はもちろん,当時伝来していた初唐の王勃(おうぼつ)や駱賓王(らくひんのう)の詩文を学んだ跡も見られる。とくに左大臣長屋王周辺の官人,および以後の官人作の〈詩序〉数編の佳品は,王勃らの詩序を参考にした点が顕著である。…
…中国,唐の則天武后の時代のすぐれた詩人4人,王勃(おうぼつ)(649‐676),楊炯(ようけい)(650‐695?),盧照鄰(ろしようりん)(637‐689),駱賓王(らくひんのう)(640?‐684?)をいう。略して王楊盧駱ともいう。…
…また《文中子》ともよばれる言行録の《中説》は,構成・措辞ともに《論語》に模し,そこに登場する門人のなかに唐初に活躍する名臣が多くふくまれているため,かえって疑惑視される。初唐四傑の一人の王勃(おうぼつ)は孫。【吉川 忠夫】。…
※「王勃」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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