発色現像
ハッショクゲンゾウ
color development
ハロゲン化銀写真乳剤を,感光後,現像するときに現像銀の部分に色素を形成させる過程をいう.通常,現像主薬の酸化生成物と,カプラーとよばれる有機化合物とを反応させて色素をつくる.現像主薬としてはp-フェニレンジアミン系化合物がよく使われ,カプラーとしては活性メチレン化合物,フェノール類,芳香族アミン類が用いられる.カプラーを乳剤中に含む形式と現像液中に含む形式があり,それぞれ内型,外型発色とよばれる.3層に乳剤を重ねたカラーフィルムでは,ごく一部の反転フィルム以外はすべて内型である.外型は3層を別々に現像しなくてはならないが内型は同時に現像できる.現像後,残ったハロゲン化銀と生成した現像銀は化学的に除去される.乳剤が3層構成のカラー感材では,各層が感光する色の補色にあたる色素が生成される.また,カプラーの隣層への拡散を防ぐため,種々の工夫がなされる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
発色現像【はっしょくげんぞう】
カラー写真において色画像を得るために行う現像処理。現像に際し,感光したハロゲン化銀は現像主薬によって還元され金属銀となり,同時に現像主薬自身は酸化されて酸化物となる。この現像主薬の酸化物と発色剤(カプラー)とのカップリングにより着色物質が生成することを利用する。発色剤としてはアミン類,フェノール類,活性メチレン化合物などが使用され,発色現像主薬としてはジエチル‐p‐フェニレンジアミンの硫酸塩や塩酸塩が多く用いられる。それぞれ発色すべき色に相当する発色剤は各乳剤層にあらかじめ加えてある場合と,発色現像液中に加えられる場合があり,前者は内式(内型),後者は外式(外型)と呼ばれる。発色現像においては色画像と銀画像とが同時にできるため,現像後脱銀定着を行って色画像だけを残す。
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はっしょくげんぞう【発色現像 colour development】
カラー写真画像を作り出す方法の一つ。もっとも成功している方法で,現在市販されているカラーネガフィルム,カラースライド用フィルム,カラー印画紙,映画用カラーフィルムなどは,いずれも発色現像によっており,これによらないカラー写真材料はインスタントカラーフィルム(インスタントフォトグラフィー),ダイカラープリント,銀色素漂白法によるカラープリント(あるいはフィルム)など,わずかなものに限られる。このため,発色現像は,しばしばもっと広い意味をもつ〈カラー現像〉と同義に用いられることも多い。
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発色現像
はっしょくげんぞう
colour development
カラー写真の現像や焼付けに使われる色彩像を得るための現像法。普通,カラーフィルムには3種の乳剤層が塗られており,露光するとそれぞれが三原色のうちの1色の光に感じるようになっている。これをパラフェニレンジアミン誘導体を主薬とする発色現像液で処理すると,3層の潜像を現像すると同時に,それぞれの層中の三原色の発色剤は現像によってできた酸化物と反応して色素画像を形成し,潜像に応じた色彩像が得られる。
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世界大百科事典内の発色現像の言及
【カラジャス山地】より
…ブラジルのアマゾン川河口から南西550kmに位置し,標高500mの山地。1967年鉄鉱石(埋蔵量約174億tで世界最大規模)が発見されたほか,マンガン,ボーキサイト等の非鉄金属の存在も確認されている。N4EやN4W等の鉱区からなり,86年から鉄鉱石の本格生産が開始された。97年に民営化予定の国営企業リオドセ社北部システムの主力鉱山として95年実績で4320万tの鉄鉱石生産が行われた。なお同鉱山は,積出港のポンタ・デ・マデイラと約900kmに及ぶ鉄道で結ばれている。…
【現像】より
…映画フィルムや医療用X線フィルム,製版用フィルムなども同様に自動現像機で処理される。
[カラー写真の現像]
カラーフィルムおよびカラー印画紙の現像には発色現像が広く使われており,現像の反応によって露光部のハロゲン化銀を還元すると同時に,現像主薬酸化体がフィルム中の発色剤と反応して色素を生成するようくふうされている。カラー感光材料には三原色の赤,緑,青に感ずる三つの乳剤層が重ねて塗布されており,露光後,発色現像液で現像すると赤感光層には銀像とシアン色像,緑感光層には銀像とマゼンタ色像,青感光層には銀像と黄色像がそれぞれ生成する。…
※「発色現像」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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