日本大百科全書(ニッポニカ) 「環境共生住宅」の意味・わかりやすい解説
環境共生住宅
かんきょうきょうせいじゅうたく
環境負荷軽減の配慮や自然環境との調和を図りながら健康的で快適な居住性を確保しようとする住宅。厳密な定義はなく用法も多様である。化石燃料の枯渇や地球温暖化、生態系の破壊などへの危機感を背景として、居住生活と地球環境との共存を目ざす取組みの一環であるといえる。さまざまの取組みや試みが行われているが、省エネルギーを目ざすものとしては壁や窓の遮熱材の使用や自然換気・通風の活用、外壁や屋根・屋上の熱反射材の利用、樹木や緑陰の設置、自然光の利用などがある。また、水資源節約としては雨水貯蔵と利用、池水循環などがある。エネルギー創出や有効利用を目ざすものとしては太陽光発電やガス発電、蓄電設備、スマートメーター(通信機能を備えた次世代電力量計)、スマートグリッド(電力の流れや電力使用を最適にコントロールする次世代送配電網)などがある。さらに地域によってはゴミ焼却熱や地熱、風力、水力などによる発電や地域冷暖房が行われているところもある。また屋根に土を盛って緑地としたり、地中に居住空間を設けている住宅など、自然環境と一体化したり親和性の高い住宅も環境共生住宅とみなすことがある。一方で快適性に関しては、シックハウス防止のための素材使用やバリアフリー、さらには地域コミュニティの活性化や子供や高齢者の見守りなど、居住生活上の活動・対策などを含むこともある。以上の要素のいくつかが複合的に当てはまる場合に環境共生住宅と称するのが一般的であるが、ほぼ単独でも称す場合、当てはまっていても称さない場合もある。
[多治見左近]