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瓦版 かわらばん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

瓦版
かわらばん

江戸時代に売出されたパンフレット類。初期の頃「絵草紙」といった。多くは木版で,天変地異仇討ちなどのニュースのほか,浄瑠璃小唄などを題材にしたものもある。街頭で読みながら売ったため,当時は「読売」と呼ばれた。現存する最古のは,大坂夏の陣を描いた元和1 (1615) 年のもの (『大坂安部之合戦之図』) 。ドイツにもフルークブラットという瓦版のような印刷物が 15~16世紀にあった。明治に入り,新聞の登場で姿を消した。

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デジタル大辞泉の解説

かわら‐ばん〔かはら‐〕【瓦版】

江戸時代、天災地変・火事・心中などの事件を速報記事にして街頭で売り歩いた印刷物。ふつう半紙一枚刷り原版として木版が残るが、もとは粘土に文字や絵を彫り、瓦のように焼いて作ったという。読み売り。

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百科事典マイペディアの解説

瓦版【かわらばん】

江戸時代の印刷ニュース媒体。大小さまざまの木版一枚刷り,また半紙二つ折りを数枚綴じたものもある。絵を中心にしてそのまわりに説明を配している。幕府の禁制のため政治的なニュースを扱ったものはまれで,天変地異,仇討(あだうち),孝子忠僕の表彰などのほか,俗謡,戯文などをも扱い,街頭で売られた。
→関連項目仮名垣魯文

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世界大百科事典 第2版の解説

かわらばん【瓦版】

江戸時代に行われた不定期刊行の印刷ニュース媒体。多くの場合,絵画を中心として説明文を書き添えたもので,形態は大小さまざまな木版一枚刷りのものと,半紙二つ折りを数枚綴じたものとがある。事件発生の都度,街頭で読売りされたので〈読売り〉または〈辻売りの絵草紙〉などと呼ばれていた。瓦版という名称は幕末ころの文献に初めて見られ,いわゆる〈読売り〉の粗末なものに対する蔑称(べつしよう)として用いられていた。今日のように瓦版が〈読売り〉の代名詞となったのは明治の末年からのことである。

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大辞林 第三版の解説

かわらばん【瓦版】

江戸時代、事件などの速報記事を一枚刷りにしたもの。市中を売り歩いた。粘土に文字・絵をほりつけ、瓦形に焼いたものを版にしたというのが語源らしいが、現存するものは木版。 → 読み売り

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

瓦版
かわらばん

江戸時代に、ニュース速報のため、木版一枚摺(ずり)(ときには2、3枚の冊子)にして発行された出版物。瓦版という名称は幕末に使われ始め、それ以前は、読売(よみうり)、絵草紙(えぞうし)、一枚摺などとよばれた。土版に文章と絵を彫り、焼いて原版とした例もあったという説もあるが不明確である。最古の瓦版は大坂夏の陣を報じたもの(1615)といわれるが明確ではない。天和(てんな)年間(1681~1684)に、江戸の大火、八百屋(やおや)お七事件の読売が大流行したと文献にみえ、貞享(じょうきょう)・元禄(げんろく)年間(1684~1704)には上方(かみがた)で心中事件の絵草紙が続出したと伝えられる。これが瓦版流行の始まりである。
 江戸幕府は、情報流通の活発化を警戒してこれらを禁圧し、心中や放火事件などの瓦版は出せなくなった。江戸時代中期には、1772年(明和9)の江戸大火、1783年(天明3)の浅間山大噴火など災害瓦版が多く現れ、打毀(うちこわし)を報じたものもあったが、寛政(かんせい)の改革(1787~1793)以後、取締りがいっそう厳しくなった。しかし、文政(ぶんせい)年間(1818~1830)以後になると、大火、地震、仇討(あだうち)などの瓦版が、禁令に抗して幾種類も売られ、また、米相場一覧、祭礼行列図、琉球(りゅうきゅう)使節行列図なども刊行された。安政(あんせい)の地震(1855)の瓦版は300種以上も出回り、その後、明治維新に至る政治的事件の報道、社会風刺の瓦版が続出した。瓦版の値段は、半紙一枚摺で3~6文、冊子型は16~30文ほどであった。作者、発行者は絵草紙屋、板木屋、香具師(やし)などであろう。安政の地震の際には、仮名垣魯文(かながきろぶん)、笠亭仙果(りゅうていせんか)などの作者や錦絵(にしきえ)板元が製作販売にあたってもいる。
 明治に入って瓦版は近代新聞にとってかわられるが、その先駆的役割を果たしたといえよう。[今田洋三]
『小野秀雄著『かわら版物語』(1960・雄山閣出版) ▽今田洋三著『江戸の災害情報』(西山松之助編『江戸町人の研究 第5巻』所収・1978・吉川弘文館)』

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世界大百科事典内の瓦版の言及

【新聞】より


【日本】
 17世紀初めから19世紀後半まで,日本では社会的事件が起きたときに,文字または文字と絵でそのニュースを伝える1枚刷のビラが大都市で売られた。これを〈読売〉あるいは〈瓦版〉と総称する。〈瓦版〉とは,粘土版に文字や絵を彫り,それを焼いて刷版としたからだが,木版刷のものも多い。…

【フルークブラット】より

…多く街頭で呼び売りされた。日本の瓦版とある程度類似した機能をもち,定期的に発行される新聞の先駆形態の一つである。フランス(カナールcanardと称される),スペインなどヨーロッパ各国で出されたが,ドイツの印刷業者の手になるものが最も多い。…

※「瓦版」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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