生体電気(読み)せいたいでんき(英語表記)bioelectricity

精選版 日本国語大辞典 「生体電気」の意味・読み・例文・類語

せいたい‐でんき【生体電気】

〘名〙 生物の生命活動に伴って生ずる電気生物電気。〔人体機能(1952)〕

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デジタル大辞泉 「生体電気」の意味・読み・例文・類語

せいたい‐でんき【生体電気】

生物電気

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改訂新版 世界大百科事典 「生体電気」の意味・わかりやすい解説

生体電気 (せいたいでんき)
bioelectricity

生物電気ともいう。生物に見られる発電現象をいう。生体電気という言葉はイタリアの生理学者L.ガルバーニによって最初に用いられた(1786)。彼はカエルの筋肉が2種の金属をつないだもの(電気ピンセット)に触れると収縮が起こることを発見し,その原因は生物電気であると説明した。A.ボルタは収縮は接触電位差によると反論した。後に,このような筋肉や神経は興奮すると活動電位を発生することが知られるようになった。生体電気現象は興奮性細胞,すなわち感覚細胞や神経細胞,筋細胞で顕著である。

 興奮性細胞の興奮やその伝達に伴って生じる電気現象には活動電位のほかシナプス電位受容器電位などが知られている。シナプス電位は興奮がある細胞から次の細胞へ伝えられたときに,興奮を伝えられた細胞にみられる電位変化で,大きくなると活動電位が生じる。受容器電位は感覚細胞が興奮するときに最初に生じる電位変化で,活動電位はこれによってひき起こされる。脳や心臓や筋肉,あるいは感覚器から器官全体の電位変動を記録したものは,それぞれ脳電図(脳波),心電図,筋電図,そして網膜電図,嗅電図などと呼ばれる。デンキナマズシビレエイなど特別な魚の存在は有史以来知られていたが,しびれるのはこれらの魚の発電による。発電の大きさはデンキウナギでは200Vにも達する。これらのほかに1V以下の弱い発電をする魚もいる(電気魚)。

 生体電気は動物だけでなく,オジギソウフラスコモなどの植物でも観察されている。オジギソウを振動刺激すると羽毛状の葉が閉じて垂れ下がるが,刺激の伝達や運動に伴って活動電位が発生することが知られている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「生体電気」の意味・わかりやすい解説

生体電気
せいたいでんき
bioelectricity

生物にみられる発電現象で,生物電気ともいう。種々の細胞を取囲む生体膜は,通常外側が正,内側が負に帯電し,内外に電位差がある。これを膜電位 (静止電位) といい,数 mV~80mVの値を示す。生体電気はこれに由来するが,細胞が興奮を引起すと,膜はイオンに対する透過性を変化させる。そのときナトリウムイオンが膜を通して内側へ流れ込んで内外間の電位差は減少し (脱分極) ,ついに内側が正になる瞬間もあるが,やがてもとに戻る。すなわち生体電気は,興奮性細胞での膜現象に基づく。ヒトの生体電気は心電図,筋電図,脳波図として医学の診断や,電気刺激をして骨折や傷の治癒を促進することなどに利用される。発電魚などの,ときに数百Vに及ぶ電気現象も,これら微小な個々の細胞の電気現象が積重なったものである。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「生体電気」の意味・わかりやすい解説

生体電気
せいたいでんき

生物電気

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