生物電気ともいう。生物に見られる発電現象をいう。生体電気という言葉はイタリアの生理学者L.ガルバーニによって最初に用いられた(1786)。彼はカエルの筋肉が2種の金属をつないだもの(電気ピンセット)に触れると収縮が起こることを発見し,その原因は生物電気であると説明した。A.ボルタは収縮は接触電位差によると反論した。後に,このような筋肉や神経は興奮すると活動電位を発生することが知られるようになった。生体電気現象は興奮性細胞,すなわち感覚細胞や神経細胞,筋細胞で顕著である。
興奮性細胞の興奮やその伝達に伴って生じる電気現象には活動電位のほかにシナプス電位や受容器電位などが知られている。シナプス電位は興奮がある細胞から次の細胞へ伝えられたときに,興奮を伝えられた細胞にみられる電位変化で,大きくなると活動電位が生じる。受容器電位は感覚細胞が興奮するときに最初に生じる電位変化で,活動電位はこれによってひき起こされる。脳や心臓や筋肉,あるいは感覚器から器官全体の電位変動を記録したものは,それぞれ脳電図(脳波),心電図,筋電図,そして網膜電図,嗅電図などと呼ばれる。デンキナマズやシビレエイなど特別な魚の存在は有史以来知られていたが,しびれるのはこれらの魚の発電による。発電の大きさはデンキウナギでは200Vにも達する。これらのほかに1V以下の弱い発電をする魚もいる(電気魚)。
生体電気は動物だけでなく,オジギソウやフラスコモなどの植物でも観察されている。オジギソウを振動刺激すると羽毛状の葉が閉じて垂れ下がるが,刺激の伝達や運動に伴って活動電位が発生することが知られている。
執筆者:立田 栄光
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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