落語。別名《寝床義太夫》《寝床浄瑠璃》《素人(しろうと)義太夫》など。義太夫自慢の旦那が,会を開こうとして番頭に長屋を回らせるが,その奇声を恐れて誰も来ない。店の者も仮病を使って逃げようとする。旦那が,店の者は暇(ひま)を出し,長屋の者は追い出すと怒るので,一同はあわてて集まる。きげんを直した旦那が語り始めると,上戸(じようご)は酒肴(さけさかな),下戸(げこ)は甘い物のごちそうで寝てしまう。気づいた旦那が怒ると,小僧だけが寝ないで泣いている。芸の理解者と思い,どこが悲しかったと聞くと,〈あそこです〉と指さす。〈あそこは,わたしが義太夫を語った所だ〉〈あそこがわたしの寝床です〉。これをもとに,へたな素人芸一般を指して〈寝床〉というようになったくらい有名な落語。原話は,《醒睡笑(せいすいしよう)》《和漢咄会(わかんはなしかい)》などの江戸小咄に見られる。
執筆者:興津 要
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
落語。上方(かみがた)落語では『寝床浄瑠璃(じょうるり)』といった。『素人義太夫(しろうとぎだゆう)』という別名もある。義太夫好きの家主が自分の芸を人に聞かせたがり、今夜も番頭に長屋の者を呼びに行かせたが、それぞれ断りの言い訳をしてだれもこない。店の者も仮病を使って逃げるので家主は怒り、長屋の者はみんな出て行け、店の者は暇を出すという。一同が驚いて集まり、家主が機嫌を直して語り始める。そのうちに静かになったので、家主がよく見ると、みんな寝ている。また家主が怒ると、たった1人だけ小僧の定吉が寝ずに泣いている。「どこが悲しかった? 子別れか、先代萩(せんだいはぎ)か」「そんなとこじゃない」「どこだい」「あすこだい」「あすこはあたしが義太夫語った床(ゆか)じゃないか」「あたくしは……あすこが寝床でございます」。原話は『醒睡笑(せいすいしょう)』『和漢咄会(わかんはなしかい)』など江戸小咄(こばなし)にみられる。8代目桂文楽(かつらぶんらく)の十八番だったが、内容がおもしろく、いまでも演(や)り手が多い。
[関山和夫]
…お前は六部に天狗がついたのか〉〈三分で新造(しんぞ)がつきんした〉という落ちで,おいらん道中の説明が前にないと理解できぬ型。 とたん落ち《寝床》が一例。旦那がへたくそな義太夫を熱演中,一同寝込むなかで小僧が泣いていた。…
※「寝床」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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