田中阿歌麿(読み)タナカアカマロ

デジタル大辞泉 「田中阿歌麿」の意味・読み・例文・類語

たなか‐あかまろ【田中阿歌麿】

[1869~1944]日本の湖沼学陸水学開拓者東京の生まれ。ベルギーのブリュッセル大学で地理学を学ぶ。帰国後、全国の主要湖沼を科学的に調査。昭和6年(1931)日本陸水学会創立。著「諏訪湖研究」「野尻湖の研究」など。

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精選版 日本国語大辞典 「田中阿歌麿」の意味・読み・例文・類語

たなか‐あかまろ【田中阿歌麿】

  1. 湖沼学者。江戸築地生まれ。田中不二麿の子。ブリュッセル大学卒。国内の主要湖沼をはじめて科学的に調査。日本の湖沼学・陸水学を開拓した。著「湖沼の研究」「諏訪湖の研究」など。明治二~昭和一九年(一八六九‐一九四四

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「田中阿歌麿」の意味・わかりやすい解説

田中阿歌麿
たなかあかまろ
(1869―1944)

日本における湖沼学・陸水学の開拓者。東京・築地(つきじ)の尾張(おわり)藩邸に生まれる。10歳ごろ富士登山の際、眼下の五湖に強い研究欲をそそられた。1884年(明治17)駐伊公使として赴任する父不二麻呂(ふじまろ)に従いヨーロッパへ渡り、イタリア、スイス、フランスを経て、ベルギーのブリュッセル大学で地理学を修めた。1895年帰国。1899年の山中湖の等深線図作成・水温観測は日本最初の近代湖沼学・陸水学研究であった。以後20年間ほとんど独力で全国の主要湖沼を科学的に調査した。1931年(昭和6)日本陸水学会初代会長。華族女学校早稲田(わせだ)、拓殖、京都の各大学、水産講習所(のち東京水産大学。現、東京海洋大学)で地理学や湖沼学を講じ、湖沼学の普及に努めた。著書に『湖沼の研究』(1930)、『諏訪(すわ)湖の研究』(1918)、『野尻(のじり)湖の研究』(1926)、『日本北アルプス湖沼の研究』(1930)、『湖』、『松原湖群の湖沼』などがある。

石山 洋]

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改訂新版 世界大百科事典 「田中阿歌麿」の意味・わかりやすい解説

田中阿歌麿 (たなかあかまろ)
生没年:1869-1944(明治2-昭和19)

湖沼学者。東京築地の尾張藩主徳川侯邸内に生まれた。父の田中不二麻呂は尾張藩士。1884年父母に従って渡欧,93年ブリュッセル市立大学を卒業,主として人文地理学を学び,95年に帰国して,日本に初めて湖沼学を紹介した。自らも99年8月山中湖の測深を行って以来,各地の湖沼を訪れ,主として湖盆形態ならびに水温などの物理的性質の研究を行った。1932-33年には千島列島の湖沼調査に参加している。1931年,日本陸水学会を創立。主著に《諏訪湖の研究》(1918),《野尻湖の研究》(1926),《日本北アルプス湖沼の研究》(1930),《趣味の湖沼学》(1922)がある。

 なお,長男の田中薫(1898-1982)は地理学者で,《氷河の山旅》(1943),《アメリカの経済地誌》(1953),《地理写真手帳》(1960)などの著書がある。
執筆者:

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20世紀日本人名事典 「田中阿歌麿」の解説

田中 阿歌麿
タナカ アカマロ

明治〜昭和期の湖沼学者 日本陸水学会初代会長。



生年
明治2年9月30日(1869年)

没年
昭和19(1944)年12月1日

出生地
東京・築地

学歴〔年〕
ブリュッセル市立大学理学部地理学科〔明治26年〕卒

学位〔年〕
理学博士

経歴
中村敬宇の私塾に学び、明治17年父・田中不二麿子爵に従って渡欧する。外交官の修業をしていたが、アルプスの山湖を巡歴して地理学に傾倒し、ブリュッセル市立大に入学。卒業後コンゴ植民地の地理研究をし、28年帰国。以来、山中湖を皮切りとし全国各地の湖沼を研究する。専修大、中央大、早稲田大、京都帝大などで教え、昭和6年日本陸水学会を創立、初代会長となる。主な著書に「諏訪湖の研究」「日本北アルプス湖沼の研究」などがある。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「田中阿歌麿」の解説

田中阿歌麿 たなか-あかまろ

1869-1944 明治-昭和時代前期の湖沼学者。
明治2年9月26日生まれ。田中不二麿(ふじまろ)の長男。ベルギーのブリュッセル市立大で地理学をまなび,帰国後日本各地の湖沼の湖盆形態と水温調査を実施。中央大教授。昭和6年日本陸水学会を設立,初代会長。昭和19年12月1日死去。76歳。東京出身。著作に「諏訪(すわ)湖の研究」など。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「田中阿歌麿」の意味・わかりやすい解説

田中阿歌麿
たなかあかまろ

[生]明治2(1869).10.13. 東京
[没]1944.12.1.
日本の湖沼学の祖。ブリュッセル市立大学理学部卒業 (1893) 。 1899年より日本湖沼の研究に着手し,約 45年間,その足跡はほとんど全湖沼に及んだ。 1931年日本陸水学会を創設し,初代会長となる。著書『日本北アルプス湖沼の研究』 (1930) 。

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百科事典マイペディア 「田中阿歌麿」の意味・わかりやすい解説

田中阿歌麿【たなかあかまろ】

地理学者。日本における湖沼学の開拓者。明治初期の文教行政家田中不二麻呂の子。ブリュッセル市立大学地理学科卒。1926年中央大学教授。国内主要湖沼を調査,《諏訪湖の研究》《野尻湖の研究》《日本北アルプス湖沼の研究》の三部作と松原湖群の研究が著名。1931年日本陸水学会創立以来の会長。

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367日誕生日大事典 「田中阿歌麿」の解説

田中 阿歌麿 (たなか あかまろ)

生年月日:1869年9月30日
明治時代-昭和時代の湖沼学者。日本陸水学会初代会長;中央大学教授
1944年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の田中阿歌麿の言及

【湖沼学】より

…ナウマンの提唱による国際陸水学会はその中心が湖沼学となっている。日本では1899年に田中阿歌麿(1869‐1944)によって初めて湖沼学が開拓され,諏訪湖の研究などが行われた。ほかに田中館秀三(1884‐1951),宮地伝三郎(1901‐88),吉村信吉(1906‐47)らの調査研究により,湖沼学は非常に進歩した。…

※「田中阿歌麿」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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