田主丸古墳群(読み)たぬしまるこふんぐん

日本歴史地名大系 「田主丸古墳群」の解説

田主丸古墳群
たぬしまるこふんぐん

[現在地名]田主丸町石垣・地徳など

耳納みのう山地北麓に所在する古墳群のうち、その中心部を占める田主丸町内の古墳の総称。国指定史跡。現在は大小合せて三五〇基前後の古墳が確認されるが、江戸時代には一千基を超えていたという(「寛延記」など)。これらの古墳は耳納山地から北に派生する尾根ごとにまとまりをもって展開する群集墳で、その多くは六世紀後半を中心とした小円墳からなる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

国指定史跡ガイド 「田主丸古墳群」の解説

たぬしまるこふんぐん【田主丸古墳群】


福岡県久留米市田主丸町にある古墳群。指定名称は「田主丸古墳群 田主丸大塚古墳(たぬしまるおおつかこふん) 寺徳古墳(じとくこふん) 中原狐塚古墳(なかばるきつねづかこふん) 西館古墳(にしのたてこふん)」。田主丸古墳群は、旧田主丸町内にある古墳の総称で、筑後平野を一望する耳納(みのう)山地北麓の台地上に位置する。田主丸大塚古墳は全長103mの前方後円墳で、後円部径60m、北部九州の中では最大級の大きさを誇る。1998年(平成10)に発掘調査が実施され、墳丘には葺石(ふきいし)が確認され、石垣状になっているなどの特徴がみられた。石室は、大きな盗掘にあっていない可能性が高いが、内部の調査は後世に譲られ、現状のまま埋め戻された。寺徳古墳は、田主丸の古墳の中で一番標高の低い場所にある円墳。6世紀後半の築造で、西に開口する複室の横穴式石室をもつ。墳丘の直径は18m、高さ約3m。玄室の奥壁と側壁などに同心円を中心として、三角文、盾、船などが描かれており、とくに、奥壁の同心円は赤と緑で大胆に描かれている。中原狐塚古墳は、盛り土がほとんど流れてしまったが、本来は直径19mの円墳で、複室の横穴式石室の内部に装飾壁画があり、弓の金具鉄鏃(てつぞく)が出土している。西館古墳は、長径14m、短径10.4mの楕円形をしており、やはり複室の横穴式石室の内部に装飾画がある。現在、幸徳・中原狐塚・西館古墳は、装飾画保護のため密閉されている。田主丸大塚古墳へは、JR久大本線田主丸駅から車で約5分。寺徳古墳へは、同駅から西鉄バス「森山」下車、徒歩約4分。中原狐塚古墳へは、同駅から西鉄バス「中原」下車、徒歩約5分。西館古墳へは、同駅から西鉄バス「麦生」下車、徒歩約12分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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