男女間賃金格差(読み)だんじょかんちんぎんかくさ(英語表記)gender wage gap

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「男女間賃金格差」の解説

男女間賃金格差
だんじょかんちんぎんかくさ
gender wage gap

男女間の平均的賃金・給与の系統的格差。20世紀後半,多くの女性が仕事をもつようになり,それにつれて男女間の賃金格差は縮小した。しかし,一つの集団としてみた場合,依然として男性は女性よりもかなり多くの報酬を得ている。これは大きく分けて水平的分離と垂直的分離によって説明される。
水平的分離は職業分離とも呼ばれ,男女どちらかが圧倒的に多い職域で生じる格差をさす。たとえば,専門職の中では,男性が多い会計士や建築士,エンジニアなどは,女性が多い看護師社会福祉士,小・中学校教員などに比べて報酬が高く,昇進の機会も多い傾向がある(→昇進制度)。1980年代以降,職業分離は減少したものの,いまだ多くの労働者が性別によってすみ分けされた職業にとどまっているといえる。職業分離の形成には多くの要因があるため,その理由を明白にするのは難しい。たとえば,個人の資質や能力,性別役割(→性役割)の社会化,労働者の価値観,労働者に開かれた機会の幅,労働供給量といった「供給」要因がある一方で,雇用者の選択傾向,労働需要,経済的圧力,差別,あるいは人事慣行といった「需要」要因もあり,これらは性別による待遇の差を労働市場にもたらす要因となっている。
垂直的分離は,階層的分離あるいは権力格差とも呼ばれ,男性のほうが女性よりも権威ある地位につくことが多いという事実をさす。昇進の判断において,年功(在職期間の長さ)や学歴,あるいは仕事以外に負っている責任などとかかわりなく,男性に有利な差別が顕著に存在する例を,多くの研究者が明らかにしている。垂直的分離にはいくつかの要因が考えられるが,女性が一定以上の地位に昇進することを妨げる見えない障壁「ガラスの天井」glass ceilingが,特に女性が少ない分野において存在すると考えられている。性差別に基づく障壁によって,結果的に男性のほうが高い地位につく機会をより多く与えられる。大企業に女性の CEOが少ないことは,ガラスの天井の一例とみなすことができる。

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