痘瘡(読み)トウソウ

デジタル大辞泉 「痘瘡」の意味・読み・例文・類語

とう‐そう〔‐サウ〕【痘×瘡】

痘瘡ウイルス感染によって起こる悪性伝染病高熱全身に小水疱すいほうとが出て死亡することが多く、治ってもあばたが残る。感染症予防法の1類感染症、検疫法検疫感染症の一。WHO世界保健機関)の種痘励行によって1980年地球上から消滅天然痘疱瘡ほうそう

も‐がさ【痘瘡】

痘瘡とうそう古名。天然痘。
「この世の中は、―おこりてののしる」〈かげろふ・下〉

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精選版 日本国語大辞典 「痘瘡」の意味・読み・例文・類語

も‐がさ【痘瘡】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 疱瘡(ほうそう)。天然痘。また、そのあと。
    1. [初出の実例]「天下患豌豆瘡〈俗曰裳瘡〉夭死者多」(出典続日本紀‐天平七年(735)閏一一月壬寅)
    2. 「もがさといふもの出で来て、よもやまの人上下病みののしるに」(出典:栄花物語(1028‐92頃)花山たづぬる中納言)
  3. できもの。はれもの。また、かさ。
    1. [初出の実例]「震旦の僧に、御腿の瘡(モガサ)を御切らせになった事もございますし」(出典:地獄変(1918)〈芥川龍之介〉一)

とう‐そう‥サウ【痘瘡】

  1. 〘 名詞 〙てんねんとう(天然痘)
    1. [初出の実例]「已に痘瘡・黴毒、古書になくして後世盛に行はるる事あるの類なり」(出典:形影夜話(1810))
    2. [その他の文献]〔痘疹心法‐或問〕

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家庭医学館 「痘瘡」の解説

とうそうてんねんとう【痘瘡(天然痘)】

 天然痘ウイルスが感染しておこる病気で、高熱と、全身の皮膚や粘膜(ねんまく)に多数の水疱性(すいほうせい)の発疹(ほっしん)が現われ、生命にかかわることが多いものです。
 かつては、インド、パキスタン東南アジアアフリカ南米などの風土病として存在し、ここからもち出されて、欧米諸国や日本でも毎年のように小流行がありました。
 しかし、痘瘡は人間だけがかかる病気で、他の動物はかかりません。また、種痘(しゅとう)で予防できます。
 そこでWHO(世界保健機関)は、第二次世界大戦後、種痘を武器とした痘瘡の撲滅ぼくめつ)作戦を発生地で展開した結果、1977年、アフリカのソマリアにおける病人を最後として、痘瘡という病気は地球上から消滅し、撲滅宣言が出されました。
 なお、バイオ・テロのおそれから2003年に1類感染症に指定されています。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「痘瘡」の意味・わかりやすい解説

痘瘡
とうそう
smallpox

天然痘,疱瘡。かつては世界的に猛威をふるった発疹性の急性感染症であるが,世界保健機関 WHOの根絶作戦が実って,1980年5月8日,地球上からの消滅が公式に宣言された。一般的な経過では潜伏期は 10~14日で,高熱とともに前駆疹が現れ,3日ぐらいで解熱してから3~4日後に本格的な発疹が出る。発疹期に死亡することもあるが,この期間を耐えれば,発病後 14~16日で瘢痕を残して治癒する。痘瘡ウイルスは大型のウイルスで,一辺が 150~250nmの六面体をしており,接触感染する。

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改訂新版 世界大百科事典 「痘瘡」の意味・わかりやすい解説

痘瘡 (とうそう)

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百科事典マイペディア 「痘瘡」の意味・わかりやすい解説

痘瘡【とうそう】

天然痘

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「痘瘡」の意味・わかりやすい解説

痘瘡
とうそう

天然痘

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世界大百科事典(旧版)内の痘瘡の言及

【仮痘】より

…痘瘡(とうそう)ワクチンの接種(種痘)により十分な免疫をもつ人は痘瘡(天然痘)にかからないが,過去に種痘をうけて年月がたち,痘瘡に対する免疫が低下している人が痘瘡に感染した場合は,発病しても通常,症状が軽く,経過も短く,予後もよい。 このような痘瘡を仮痘あるいは軽痘という。…

【天然痘】より

…天然痘ウイルスによる伝染力の強い急性発疹性伝染病の一つで,激しい全身症状と特有の水疱性発疹を主症状とする。法定伝染病の一つで,痘瘡(とうそう)または疱瘡(ほうそう)ともいう。古くから人類に甚大な被害を及ぼしたが,E.ジェンナーによる種痘法の発見を契機として予防法が確立され,まず先進国から天然痘が駆逐された。…

※「痘瘡」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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