白む(読み)シラム

デジタル大辞泉 「白む」の意味・読み・例文・類語

しら・む【白む】

[動マ五(四)]
白くなる。特に、夜が明けて空やあたりが薄明るくなる。「東の空が―・む」
「半ば―・みたる髪」〈鴎外舞姫
興がさめる。しらける。「座が―・む」
衰える。
晴明土御門の家に、老い―・みたる老僧来りぬ」〈宇治拾遺・一一〉
技術・能力がさがる。楽器などの調子が悪くなる。
「(琴ニ)手触れで久しくなりにけるに、こゑも―・まず」〈宇津保・俊蔭〉
勢いがくじける。負けそうになる。
山名が兵ども進みかねて少し―・うてぞ見えたりける」〈太平記・三二〉
色が取れる。
「(鼻ニ付ケタ紅ガ)さらにこそ―・まね」〈末摘花
[類語]白ける白茶ける

しろ・む【白む】

[動マ四]
白くなる。白色を帯びる。
「牛は、額はいと小さく―・みたるが」〈五一
ひるむ。勢いがくじける。
双方―・みて控へたり」〈浄・出世景清
[動マ下二]
白くする。
「衣も―・めず、同じすすけにてあれば」〈・八七〉
米をついて精米にする。
「米ヲ―・ムル」〈日葡

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「白む」の意味・読み・例文・類語

しら・む【白】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 マ行五(四) 〙
    1. 白くなる。
      1. [初出の実例]「浪のたつやうにしらむ也」(出典:名語記(1275)六)
    2. 明るくなる。明け方になる。
      1. [初出の実例]「夜漸く(あ)け白らむ程に」(出典:今昔物語集(1120頃か)一三)
      2. 「清見がた月はつれなき天の戸をまたでもしらむ浪の上かな〈源通光〉」(出典:新古今和歌集(1205)夏・二五九)
    3. 衰える。減退する。悪くなる。
      1. [初出の実例]「この琴どもはいかでつくりしぞ。手触れで久しく成にけるに、声もしらまず」(出典:宇津保物語(970‐999頃)俊蔭)
    4. 勢いが弱くなる。ひるむ。また、負けいろになる。旗色が悪くなる。
      1. [初出の実例]「数多敵討取、終にはしらみて落にけり」(出典:慈光寺本承久記(1240頃か)下)
    5. 剣の刃がいたむ。刃の切れあじが鈍くなる。〔羅葡日辞書(1595)〕
    6. 興がさめる。しらける。
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 マ行下二段活用 〙
    1. 白くする。明白にする。潔白にする。疑いをはらす。
      1. [初出の実例]「返答致もむやくしけれど、ほだされ詞をしらめんため、あらあら申候也」(出典:浄瑠璃・自然居士(1697頃)三)
    2. しらまかす(白━)

白むの補助注記

→「しらける(白)」の補注


しろ・む【白】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 マ行四段活用 〙
    1. 白くなる。白みを帯びる。白っぽくなる。
      1. [初出の実例]「牛は、額はいとちひさく、しろみたるが、腹の下、足、尾の筋などはやがてしろき」(出典:枕草子(10C終)五一)
    2. ひるむ。たじろぐ。ためらう。勢いが弱まる。
      1. [初出の実例]「山名が兵共進みかねて、少し白(シロ)うでぞ見えたりける」(出典:太平記(14C後)三二)
    3. 刀などの刃が鈍くなる。
      1. [初出の実例]「おに到りてつるぎのやいば少ししろみたり」(出典:御伽草子・伊吹童子(岩波文庫所収)(室町末))
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 マ行下二段活用 〙
    1. 白くする。
      1. [初出の実例]「やがて常陸の介とつけたり。衣(きぬ)もしろめず、おなじすすけにてあれば」(出典:枕草子(10C終)八七)
    2. 米を搗(つ)いて精米にする。
      1. [初出の実例]「米をしろむる、つく」(出典:名語記(1275)四)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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