白ける(読み)シラケル

デジタル大辞泉 「白ける」の意味・読み・例文・類語

しら・ける【白ける】

[動カ下一][文]しら・く[カ下二]
白くなる。色があせて白っぽくなる。「壁紙が―・ける」
興がさめて気まずい雰囲気になる。「座が―・ける」
具合が悪くなる。きまりが悪くなる。
実方は―・けて逃げにけり」〈十訓抄・八〉
明らかにする。また、包み隠さず話す。打ち明ける。
「頭から物ごと―・けて語りぬ」〈浮・一代男・二〉
[類語](1白む白茶ける/(2散文的素っ気ない無機的無風流興醒め興醒まし艶消し色消し味気あじけないつまらない不興しらじらしいぞっとしない鼻白む無味無味乾燥無趣味没趣味索然砂を噛むよう

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「白ける」の意味・読み・例文・類語

しら・ける【白】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 カ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]しら・く 〘 自動詞 カ行下二段活用 〙
    1. 白くなる。また、色があせる。
      1. [初出の実例]「若かりし 膚も皺みぬ 黒かりし 髪も白斑(しらけ)ぬ」(出典万葉集(8C後)九・一七四〇)
    2. 明らかになる。つつみ隠していたことが明白になる。露見する。
      1. [初出の実例]「かふしらけた上なれば、もはやつつまん様もなし」(出典:浄瑠璃・愛染明王影向松(1688‐1711頃か)上)
    3. 盛り上がっていた気持や雰囲気(ふんいき)がしぼんでなくなる。興がさめる。気まずくなる。
      1. [初出の実例]「白けて見ゆる狐かな〈源頼朝〉と侍るに 契あらば夜こそこそといふべきに〈平景時〉」(出典:菟玖波集(1356)雑体)
      2. 「座興いへ共、清五郎無(ぶ)機嫌になりて、挨拶そこそこにしらけたるに、首尾あししとて二人は帰りぬ」(出典:浮世草子・武道伝来記(1687)八)
    4. ぐあいが悪くなる。きまりが悪くなる。
      1. [初出の実例]「御咎め无かりければ、申しける僧は皆白けにけり」(出典:神宮文庫本発心集(1216頃か)二)
      2. 「もとよりみかたはしにいくさ、思ひきったることなれば、よせてはしらけて見へたりけり」(出典:浄瑠璃・吉野忠信(1697頃)五)
    5. 知っていながら知らないふりをする。しらばくれる。
      1. [初出の実例]「女出立の男はたそ、名のらせ給へととぼけ顔、しらけて男にあしらへば」(出典:浄瑠璃・日本武尊吾妻鑑(1720)二)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 カ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]しら・く 〘 他動詞 カ行下二段活用 〙 明らかにする。おおっぴらにする。また、つつみ隠さずに語る。うちあける。
    1. [初出の実例]「うちまかせて万(よろず)しらけて物を語りけるに」(出典:浮世草子・好色一代女(1686)二)

白けるの補助注記

「白くなる」という意を表わすという点で、「しらく」と「しらむ」とは類義語の関係にあるが、「しらく」は主として「頭髪が白くなる」ことを意味し、「しらむ」は、「白くなる」の意味のほか「明るくなる」の意味でも用いられた。「しらむ」は和文和歌にしか用いられないなどの差異も見られる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android