白崎(読み)しらさき

精選版 日本国語大辞典 「白崎」の意味・読み・例文・類語

しらさき【白崎】

(石灰岩の白い岩の岬であるところから呼ばれた) 和歌山県日高由良町西端にある岬。紀伊水道に面する景勝地
万葉(8C後)九・一六六八「白埼(しらさき)は幸(さき)く在り待て大船に真梶繁貫(しじぬ)きまたかへり見む」

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日本歴史地名大系 「白崎」の解説

白崎
しらさき

[現在地名]由良町大引

由良町の最西端に位置し、純白の石灰岩の岬として著名。この石灰岩は古生代の終りの二畳紀(三億五千万年前)に魚介類の骨と殻でできたフズリナ石灰岩で、明治(一八六八―一九一二)以降セメント原料として採取され、今日ではかつての半分ほどになったといわれる。

白崎
しらさき

[現在地名]下関市大字宇津井

宇津井うづいの南部にあり、神功皇后が三韓出兵の時、軍船を率いて停泊、吉凶を占ったという伝承がある。もとは海岸であったが近世の開作によって海より隔たった。

「注進案」は白崎を「王喜村御開作の南ミ豊浦潟の海岸にして道程凡五六丁、亘り凡弐拾間余りの白洲に古松生茂り、吉田川の流れ岬をしたし南溟渺々として邇くは干満の二嶋を指し、遠は豊筑の山岳を霞外に望み、頗る古代の宮地にて中古鳥居両柱朽遺るものあり、里人伝へて竜神の霊地と呼び」と記す。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「白崎」の意味・わかりやすい解説

白崎
しらさき

和歌山県中部、日高(ひだか)郡由良(ゆら)町にある岬。西走する白馬(しらま)山脈が紀伊水道に沈むリアス海岸の一部で、中生代白亜系の地層に挟在する古生層の石灰岩の真っ白な露頭が海に突出する。『万葉集』巻9の「白崎は幸(さき)くあり待て大船に真楫繁貫(まかじしじぬ)きまたかへり見む」で知られる。白崎海岸県立自然公園域で、青少年の家がある。

[小池洋一]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「白崎」の意味・わかりやすい解説

白崎
しらさき

和歌山県西部,紀伊水道に突出する岬。由良町に属する。典型的なリアス海岸にある岬の1つで,奈良県境の護摩壇山から西に延びる白馬山脈が紀伊水道に沈む部分にあたる。中生代ジュラ紀の白色の石灰岩が海に突出し,万葉の歌にもうたわれた景勝地。大正期からセメント原料として採石が行われていたが,景観保全の目的で採石は中止された。白崎海岸県立自然公園に属する。

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世界大百科事典(旧版)内の白崎の言及

【由良[町]】より

…三井造船由良工場も立地し,宅地造成などが進む。町域西端の白崎は美しい石灰岩の岬で,明治以降近年までセメント用に採取されていた門前の北側山麓に中生代ジュラ紀の砂岩の大露出があり,〈門前の大岩〉(天)と称される。紀伊水道に浮かぶ黒島はハマカズラの自生北限地。…

※「白崎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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