十津川村と和歌山県
「紀伊続風土記」の日高郡に「小森の峰にして日高川の源なり、其流れを小森川といふ、此地に赤坪白坪右衛門ゑつかいと云ふ滝四ツあり、里人伝へてゑもゑつかい殿と云ふ平家の侍身を投けし滝と云ふ、小社三社あり、又御屋敷と唱ふる所あり、平家の落人の住せし所とそ、相伝ふ昔小松惟盛逃れて此に隠れ住み山上に登りて護摩を焼き身の浮沈を卜せしに、煙高くあからさりしより意を決して在田郡奥上湯川村に潜居せしとそ、護摩壇は其護摩を焼きし所なりと云ふ」とある。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
和歌山県北東部、田辺(たなべ)市龍神(りゅうじん)村地区と奈良県吉野郡十津川(とつかわ)村の境にある山。標高1372メートル。和歌山県の最高峰とされていたが、2000年(平成12)に発表された再調査の結果、東隣の龍神岳(1382メートル)が最高峰となった。日高川の源流をなす。屋島の戦いに敗れた平維盛(これもり)がこの地に逃れ、護摩をたいて身を占ったという伝説による山名といわれるが、高野山(こうやさん)から峰続きで、大峰山にも近く、修験道(しゅげんどう)の行場としての山名である。南西麓(ろく)は高野竜神国定公園に含まれ、森林公園となっている。高野山から龍神温泉へのスカイラインが通る。
[小池洋一]
和歌山県と奈良県との境界にある山。標高1372mで,和歌山県の最高峰。中生代の四万十帯からなる。この山から西へ延びる白馬(しらま)山脈には1000m級の峰が連なっている。山の名は平維盛がこの地に逃れ,山上に登って護摩をたいて将来を占ったという伝承に由来する。山頂付近にはモミ,ブナの原生林が分布していたが,高野竜神スカイラインの開通(1980)に伴う山林開発によって,植生が一変しつつある。
執筆者:水田 義一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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