薄田泣菫(すすきだきゆうきん)の第4詩集(前年刊の詩文集《白玉姫》を入れると5番目)。1906年,金尾文淵堂刊。前年刊の《二十五絃》以後の新作64編を収めた泣菫の代表詩集で,古語の大幅な復活使用による古典的手法を完成させるとともに,各種の新詩律も試みている。集中の〈ああ大和にしあらましかば〉〈望郷の歌〉の2編は特に有名で,近代詩の絶唱に数えられる。前者はロバート・ブラウニングの〈海外よりの望郷〉,後者はゲーテの〈ミニヨンの歌〉から想を得たものであるが,内容的には奈良,京都など日本の自然や人事を,万葉や古今的な用語,情調のうちに歌っている。ほかに〈白すみれ〉〈忘れぬまみ〉など,恋を主題にした抒情小曲の傑作も含む。
執筆者:渋沢 孝輔
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…明治30年代にはまた,与謝野寛(鉄幹)・晶子らが浪漫主義の旗をかかげ,新詩社を母胎に雑誌《明星》を創刊,一方,河井酔茗,横瀬夜雨,伊良子清白ら《文庫》派の詩人たちも清新な抒情詩の秀逸を数多く発表した。薄田泣菫の《白羊宮》(1906),蒲原有明の《春鳥集》(1905)は,新体詩の達しえた高度に複雑な言語美の世界を示したが,彼らの高踏的・象徴的詩風は,フランス高踏派や象徴派に主眼をおいた訳詩によって日本近代詩史に甚大な影響を及ぼした上田敏の《海潮音》(1905)と同じ精神の土壌から発していた。訳書としての《海潮音》が明治末期の詩界で果たしたのと同様な役割を大正末期・昭和初期に果たしたのは,堀口大学の訳詩集《月下の一群》(1925)である。…
※「白羊宮」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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