百万遍(読み)ひゃくまんべん

精選版 日本国語大辞典 「百万遍」の意味・読み・例文・類語

ひゃくまん‐べん【百万遍】

[1] 〘名〙
① 百万回。また、数限りなく繰り返すこと。
※栄花(1028‐92頃)玉の飾「百万返の御念仏など常にせさせ給ふ」
※狭衣物語(1069‐77頃か)三「宮も、この程は百まんべん満てさせ給ひけり」 〔浄土論‐下〕
③ 京都の知恩寺で修する仏事。一〇人の僧が一〇八〇粒の大数珠を繰り回しながら念仏を一〇〇回(あわせて百万遍)唱えて極楽往生を願うもの。後には一般在家にも広まった。百万遍念仏
※俳諧・西鶴大矢数(1681)第一「七日のぼりし都でおどろく 説法は今はんじゃうの百万返」
輪姦
歌舞伎絵本合法衢(1810)六幕「すんでの事に百万遍をおっぱじめる所を」
[2] ((一)③から) 知恩寺及び知恩寺周辺の地域の通称。京都市左京区西部、東大路通と今出川通の交差点一帯をいう。〔雍州府志(1684)〕

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デジタル大辞泉 「百万遍」の意味・読み・例文・類語

ひゃくまん‐べん【百万遍】

百万回。また、数限りなく繰り返すこと。「百万遍頼まれても承服できない」
一人で念仏を百万回唱えること。
浄土宗で、極楽往生を願って10人ずつの僧や信者が輪になって念仏を唱え、1080個の玉の大数珠を100回、順送りにする仏事。合わせて百八万遍の念仏になる。京都知恩寺で始まり、のちに一般でも行われるようになった。百万遍念仏。
知恩寺異称

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「百万遍」の意味・わかりやすい解説

百万遍
ひゃくまんべん

京都市左京区の今出川(いまでがわ)通と東大路(ひがしおおじ)通が交差する地に、浄土宗の知恩寺(ちおんじ)があり、俗に百万遍とよばれ、周辺の地域の名称ともなった。知恩寺は、1331年(元弘1)悪疫が流行した際、法然上人(ほうねんしょうにん)が念仏百万遍を唱えて祈願し、悪疫を防いだので、百万遍の号を贈られたという。付近一帯は京都大学の広大な敷地で占められる。

織田武雄

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「百万遍」の意味・わかりやすい解説

百万遍
ひゃくまんべん

百万遍念仏の略称で,念仏を 100万回称えること,また京都知恩寺の別称。知恩寺8世善阿が流行病をなおすため7日間 100万遍の念仏を称え,効験があったので後醍醐天皇から百万遍の寺号と 1080珠の大念珠を賜った。以来知恩寺では,衆僧,信徒が集って,弥陀の名号を称えながら大数珠を 100回繰回す仏事が行われ,これも百万遍という。

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百科事典マイペディア 「百万遍」の意味・わかりやすい解説

百万遍【ひゃくまんべん】

知恩寺

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世界大百科事典(旧版)内の百万遍の言及

【知恩寺】より

…京都市左京区にある浄土宗の大本山。別称は百万遍,山号は長徳山。もとは賀茂社の神宮寺で,北小路(今出川)高倉のあたりにあって,法然が一時住み,弟子の源智があとを継いだという。…

※「百万遍」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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