長徳山功徳院と号する。浄土宗。かつては知恩院、
〈京都・山城寺院神社大事典〉
「知恩寺歴志略」によれば、もと上賀茂社の神宮寺として現在の上京区
暦仁元年(一二三八)一二月一二日に源智が当寺で没したのち(黒谷上人伝)、法統は信恵・道意・智心と継承され、当寺第六世智恵は伏見・後伏見両天皇の帰依により如一国師の号を受け(知恩寺歴志略)、知恩院第八世住持となっている。また智恵の法孫にあたる八世善阿空円は、元弘元年(一三三一)秋に後醍醐天皇の命により疫病鎮めの七日念仏百万遍を修して百万遍の寺号を受けた(知恩寺歴志略・雍州府志)。以来当寺では結衆一〇人をもって一千八〇珠の大数珠(一〇八個の数珠を一〇連)を百回しする百万遍念仏の法が定まり、世上災疫に際してはこれを修するようになった(知恩寺歴志略・山州名跡志)。
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京都市左京区にある浄土宗の大本山。別称は百万遍,山号は長徳山。もとは賀茂社の神宮寺で,北小路(今出川)高倉のあたりにあって,法然が一時住み,弟子の源智があとを継いだという。ほどなく知恩寺と称し,法然の遺跡(ゆいせき)たるをもって,浄土宗の拠点の一つとなった。8世空円は1331年(元弘1)疫病を鎮めるため百万遍念仏を修し,後醍醐天皇から〈百万遍〉の号をたまわり,結衆10人が1080個の大数珠(じゆず)を100回まわす百万遍念仏の儀式が定まった。82年(弘和2・永徳2)相国(しようこく)寺造営のため一条小川に移転したが,やがて皇室,幕府の帰依をうけ,祈願所となっている。1523年(大永3)以来,浄土宗僧侶の出世綸旨(りんじ)を執奏(しつそう)する権限をめぐり,知恩院との間に争いを生じたが,結局は江戸幕府の保護を得て隆盛した知恩院よりも一段低い位置に置かれた。寺地は豊臣秀吉の京都改造に伴う寺地替で寺町に移ったものの,1661年(寛文1)禁裏からの火事に類焼し,現在地に再度移転した。寺宝に絹本着色の《蝦蟇鉄拐(がまてつかい)図》,善導大師像,十体阿弥陀仏像,《浄土曼荼羅(まんだら)図》(いずれも鎌倉時代,重要文化財)などがある。
執筆者:中井 真孝
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京都市左京区田中門前町にある浄土宗の寺。百万遍(ひゃくまんべん)の通称で知られる。浄土宗大本山の一つで、長徳山功徳院(ちょうとくざんくどくいん)と号する。本尊は釈迦牟尼(しゃかむに)仏。もと今出川北小路賀茂河原(かもがわら)(現在の相国寺(しょうこくじ)の地)にあり、上賀茂(かみがも)神社の神宮寺であったという。法然(ほうねん)(源空)が庵居(あんきょ)して河原院神宮寺と称したが、法然の寂後、勢観房源智(せいかんぼうげんち)がこれを受け継ぎ、法然の御影(みえい)堂を建立して知恩寺と名づけた。1331年(元弘1・元徳3)疫病が流行したとき、第8世善阿空円が後醍醐(ごだいご)天皇の勅命を受け、宮中で百万遍念仏を修したところ、みごと効験あって疫病がやんだので、以後「百万遍」の号を賜り勅願所となった。1382年(永徳2)足利義満(あしかがよしみつ)が相国寺を建立するに及んで一条通油小路(あぶらこうじ)に移転したが、その後たびたび戦火にあい、1662年(寛文2)現在地に移り、4代将軍徳川家綱(いえつな)の外護(げご)で復興した。中国元(げん)代の顔輝(がんき)筆絹本着色『蝦蟇鉄拐図(がまてっかいず)』(国重要文化財)など什宝(じゅうほう)多く、本堂一周の大念珠もある。
[平井俊榮]
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…知恩院が勅願所となって,皇室との関係を深めるのはこのころからである。1523年(大永3)知恩寺(百万遍)との間で浄土宗の本山たる地位をめぐる争いが起きたのは,ようやく知恩院が地歩を固めてきたことを示す。係争は1575年(天正3)に,知恩院が浄土宗の本寺であり,香衣着用の勅許は知恩院よりの執奏(しつそう)によることを定めた綸旨(りんじ)が出されて,一応の結着をみた。…
…鎌倉初期に百万遍念仏が行われたことは,滋賀県信楽(しがらき)町玉桂寺の阿弥陀仏像胎内文書で明らかであるが,後世のような大念珠が用いられていたかは不明である。浄土宗で攘災のためにこれを行った最初は知恩寺世善阿空円と伝える。善阿は1331年(元弘1)後醍醐天皇の勅により7日間にわたって念仏百万遍を修したところ,疫病が終息したので,天皇から〈百万遍〉の寺号と弘法大師利剣の名号を賜ったという。…
※「知恩寺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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