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皮革工芸 ひかくこうげい leather craft

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

皮革工芸
ひかくこうげい
leather craft

動物の皮革を基本材料とする工芸。制作基本技法には,縫製,編み組,接着,成形などがあり,装飾技法には染色,彩絵,鍍金 (メッキ) ,型打ちなどがある。その歴史は人類の始原以来展開されてきたが,芸術としての皮革工芸品は,中世の南欧,近世のイタリアハンガリーボヘミアなどで,服飾品,家具,袋物,装丁などのすぐれたものが作られた。

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出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

皮革工芸
ひかくこうげい

すべての皮革類を素材にした工芸、工芸品をいう。[市川久美子]

歴史

現在、もっとも古い革製品として残っているものに、古代エジプトの王家の墓から発掘されたサンダルがある。その当時、革製品は神や王に捧(ささ)げる高価なものであった。動物の皮は、はいだままにしておくと腐敗し、そのまま乾燥させれば、曲げることもできないほど硬くなってしまう。したがって、革がサンダルなどの生活用品として定着するまでには、長い歳月を必要としたに違いない。衣類なども、初めは毛のついたままの硬い皮を石でこすったり、たたいたり、歯でかんだりして柔らかくしてから縫い合わせて用いた。やがて、灰汁(あく)につけることによって皮から毛を取り除くことが考えられた。古代エジプト時代などでは、革で紙の代用をしたが、その文字の書かれた革をパーチメントとよんだ。草木の汁につけると皮が柔らかくなることを発見したのはヘブライ人といわれ、このなめしの方法は現在の渋なめし(植物タンニンなめし)の原型である。中世になると、キリスト教僧院では本の表紙を革で装丁することが考えられ、単に本の保存という目的より、豪華な本作りという方向にエスカレートしていった。技術的にはイタリアがもっとも優れ、ドイツ、フランスなどに伝わっていった。こうしてヨーロッパには多くの優秀な技術者が生まれたのだが、現在でもイタリアの革製品によいものが多いのは、この長い伝統のためである。
 食生活からいうと、日本は植物性民族である。動物性民族であるヨーロッパに比べ、革の利用がやや遅れているのも無理はあるまい。正倉院宝物のなかに、漆皮箱、武具、革帯などがあるが、その後の発達の足跡をみると、主として武具のなかにくふうの跡のあることがわかる。江戸時代、革製品をつくる仕事に携わる人々は冷遇されたが、その人々の残した革羽織や煙草(たばこ)入れなどには精巧なものが多い。そしてその技術が現在に受け継がれているのである。[市川久美子]

技法

皮革工芸の技法としては次のようなものがあり、この技法からさまざまな工芸品が生まれている。(1)浮彫り 型枠をつくり、革の表面をその中に押し入れて凹凸をつけ、模様を浮き出させる方法。(2)浮出し 図案や模様をより立体的に浮き立たせるため、表革の下に革や紐(ひも)などを入れて、より立体感を目だたせる方法。(3)刻印 革の表面に、刻印棒を使って押し、模様を打ち出す方法。(4)カット刻印 カッターやナイフなどを使って、革の表面に切り込みをつくり、刻印棒を使って切り込んだ線や模様に凹凸をつけ、模様を浮き出させる方法。(5)ろうけつ染め 白ろう、木ろう、マイクロ・ワックスなどの防染剤を用い、それぞれの特徴を生かして模様をつくる方法。ひび割れ模様の染め出しに特徴がある。(6)編み込み、刺しゅう 革に革を編み込んだり、メッシュ刺しゅうしたりする方法。人々が革を扱うようになったときからのもので、現在でも親しまれている。(7)型押し 石膏(せっこう)やプラスチックなどで凹凸の模様をつくり、その型の上に革をのせ、上から押して模様を浮き出させる方法。(8)焼き絵 熱く焼いた電気モデラ(モデリング・ツールの略。皮革造形に用いるへら)や電気ペンで、革の表面を焼きながら、模様をつくっていく方法。(9)型染め 図案や模様を渋紙(しぶがみ)に切り抜いて革の上に置き、その上から染色して模様を浮き出させる方法。(10)折り染め 革(主として薄い羊銀革)を畳んだり、つまんだり、絞ったりして染色する。折りじわが模様になる。(11)筒描き 円錐(えんすい)形につくった紙筒の中に塗料や金泥などを入れ、その先端から塗料などを絞り出し、革の上に模様を描く方法。(12)略式印法 図案や模様を渋紙に切り抜き、その型紙を用いて漆で絵付けする方法。(13)略式金唐革 銅板の型や、モデラで模様を浮き出させ、彩色してから金箔(きんぱく)や金泥を置き、その上に透明な塗料を塗る。金色に渋味が加わり豪華さが出る。(14)造形 革や生皮それぞれの特性を利用し、手先で自由に好みの形をつくる方法。たとえば造花などがある。[市川久美子]

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