家庭医学館 「目の外傷」の解説
めのがいしょう【目の外傷 Injury of the Eye】
眼球(がんきゅう)そのものの外傷と、眼球付属器(がんきゅうふぞくき)(まぶた、外眼筋(がいがんきん)など)や視神経(ししんけい)の外傷など、いろいろあります。
眼球の外傷には鈍的外傷(どんてきがいしょう)、鋭的外傷(えいてきがいしょう)それに非機械的外傷(ひきかいてきがいしょう)があります。そのなかでも、穿孔性眼球外傷(せんこうせいがんきゅうがいしょう)、眼球打撲(がんきゅうだぼく)、網膜硝子体出血(もうまくしょうしたいしゅっけつ)、網膜剥離(もうまくはくり)、異物(いぶつ)や化学外傷(かがくがいしょう)などが比較的よくみられます。
●異物による外傷
風の強い日などに目にごみが入り、ゴロゴロして涙が出てきます。たいてい異物が、まぶた(眼瞼結膜(がんけんけつまく))か黒目(くろめ)に刺さっていることが多いようです。
小さいごみは、涙が出てきて、流れてとれることがありますが、ゴロゴロ感や痛みが続くようであれば、目をこすらずに、洗面器にきれいな水を入れ、顔をつけて、水の中でパチパチとまばたきすると、異物がとれることがあります。
症状が続く場合は、眼科を受診してください。
アルカリや酸などの薬物が目に入ったときは、すぐに大量の水で目を洗うことがもっともたいせつです。その後すぐに、必ず眼科医を受診してください。放置しておくと失明(しつめい)してしまうおそれがあります。
●切り傷
ナイフなどの鋭利(えいり)な刃物で目を突いたり切ったりしたときは、ただちに手術のできる眼科医を受診しなければなりません。
原因は不明ですが、けがをしている目だけでなく、正常なほうの目にも交感性眼炎(こうかんせいがんえん)がおこり、失明することもあります。
交感性眼炎をおこした場合、副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン薬(ステロイド)が大量に使用されます。
角膜(かくまく)だけの切り傷の場合は、角膜を縫(ぬ)うだけでよいこともありますが、水晶体(すいしょうたい)や網膜まで傷が達している場合は、放置しておいてはいけません。放置すると白内障(はくないしょう)、緑内障(りょくないしょう)、網膜剥離などの合併症がおこる可能性があるからです。必ず手術の設備のある眼科を受診してください。
以上のほか、目の近くに切り傷を負った場合は、全身的に異常がみられなければ、眼科で縫合してもらうのがよいでしょう。
●打撲(だぼく)
眼球にボールなどが当たったときにおこる目の外傷で、軽いものから重いものまであります。
軽いものでは、視力の低下はなく、まぶたの上から冷湿布(れいしっぷ)して安静を保つだけでよいでしょう。
目がぼやけたり、視野に見えないところができたりした場合は、すぐに眼科医の診察を受けてください。
眼球の中が出血していたり、眼球の後ろの視神経が損傷されていたりする場合には、入院して治療しなければなりません。
また、眼球のまわりの骨が折れて眼球の動きが悪くなると、物が二重に見えてきます(複視)。この場合はようすをみて、治らない場合は手術を行ないます。