目刺(読み)めざし

精選版 日本国語大辞典 「目刺」の意味・読み・例文・類語

め‐ざし【目刺】

〘名〙
① 子どもの額髪を垂らして、目にふれるほどの長さで切りそろえたもの。〔新撰字鏡(898‐901頃)〕
② 転じて、その年輩の男女の童児。こども。
神楽歌(9C後)明星朝倉「〈本〉朝倉や をめの湊に 網引きせば 玉の女佐志(メサシ)に 網引きあひにけり」
イワシなどに塩をふって、数尾ずつ竹やわらでその目の所をさし連ねて干した食品。《季・春》
親元日記‐文明一五年(1483)五月二七日「浦上方より目刺一折〈五百串〉海月一桶進之」
合巻偐紫田舎源氏(1829‐42)一九「目ざしと言へる此の籠を、下げては浜に磯菜摘む」

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デジタル大辞泉 「目刺」の意味・読み・例文・類語

め‐ざし【目刺(し)】

塩を振ったイワシなどを、目に竹ぐしやわらを刺して数匹ずつ連ね、干した食品。 春》「独り焼く―や切にうち返し/温亭
子供の額髪を垂らして、目に触れるほどの長さで切りそろえたもの。転じて、その年ごろの子供。
「小よろぎの磯たちならし磯菜つむ―ぬらすな沖にをれ波」〈古今東歌
[類語]干物乾物干し魚乾魚一夜干し丸干し開き煮干し熬り子白子干し

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世界大百科事典(旧版)内の目刺の言及

【お河童】より

…幼女の髪形の一種。短く切りそろえた髪形が説話上の河童の頭に似ているのでこの名がつけられた。1898年(明治31)ころから文献にみえる。江戸時代の切禿(きりかむろ),それ以前の〈めざし〉〈わらわ〉など幼女向きの髪形の変形で,これらよりさらに短くしたものである。おとなのお河童は断髪といわれ,第1次大戦中~戦後と欧米で流行した。それが昭和初期に日本の若い女性の間にとりいれられ,〈モダンガール〉の誕生をみた。…

【髪形】より

…貴族階級の子どもから少年期の男子は美豆良を,女子は垂髪の一種で総角(あげまき)という髪形をこの後中世も引き続き結っていた。幼児には目刺という一種の下げ髪があり,中世以降の少年の髪形に束髪,下げ髪,稚児髷などがある。女子はほとんど下げ髪で変わらず,切禿(きりかむろ)という〈おかっぱ〉の一種のものや,頭の頂に小さい髷をつけ,まわりの毛を下げた形の芥子和気(けしわげ)とよばれる髪形などがある。…

※「目刺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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