目明(読み)めあかし

精選版 日本国語大辞典 「目明」の意味・読み・例文・類語

め‐あかし【目明】

  1. 〘 名詞 〙 ( 目であきらかにする意 )
  2. 見てよし悪しをきめること。鑑定すること。めきき。
    1. [初出の実例]「やまとたましゐ わが国の目あかしになる心なり」(出典:花鳥余情(1472)一一)
  3. 戦国時代、戦場で将兵の功、不功を監察したもの。
    1. [初出の実例]「第十三敵城、攻様の人数わけ、けいご、目あかし、横目とは、実検使の事なり」(出典:甲陽軍鑑末書(17C前か)九品)
  4. 戦国時代、忍び込んだ敵をあばき、また敵将の首実検などを行なったもの。降参または捕虜にした敵兵を任ずることが多かった。
    1. [初出の実例]「重ねて敵より紛し来れる忍の者の目明しにすべしとて一命を助けて根小屋の城内に押込て指置ければ」(出典:関八州古戦録(1726)一五)
  5. 江戸時代江戸の町奉行所の同心や代官などが犯罪の捜査または犯罪者の逮捕の手伝いをさせるために雇った私的な使用人岡引(おかっぴき)手先小者御用聞などともいう。古くは犯罪者またはこれに類するものを用いたが、後には普通の私人を雇うのが一般となった。〔鹿苑日録‐慶長九年(1604)三月六日〕
    1. [初出の実例]「所の目明(メアカ)し二三人お由が宅の容子を見て」(出典:人情・春色梅児誉美(1832‐33)後)
  6. 見て事実をあきらかにすること。見あかすこと。あばくこと。
    1. [初出の実例]「海外の目あかしに御遣ひ被遊候御意味に可有之由」(出典:徳川禁令考‐前集・第一・巻八・天保九年(1838)八月一日)
  7. 夜の明け方に行なう漁。
    1. [初出の実例]「市場の向河岸で目あかしの魚(いを)〈目あかしとはあけがたのりゃう〈略〉〉をよってゐる篝のあかりで見れば」(出典:洒落本・意妓口(1789‐1801頃)三)

め‐あき【目明】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 目の見える人。
    1. [初出の実例]「目あき目くらによりてかはるべし」(出典:今川大双紙(15C前)躾式法の事)
  3. 文字の読める人。また、物の道理のわかる人。
    1. [初出の実例]「悪女年寄はつかまず、目明(アキ)千人めくらはなかりき」(出典:浮世草子好色一代女(1686)六)
    2. 「若い新村すら、自分よりは眼あきであったのか」(出典:竹沢先生と云ふ人(1924‐25)〈長与善郎〉竹沢先生の家)

め‐あけ【目明】

  1. 〘 名詞 〙 鑑定すること。めきき。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「目明」の意味・わかりやすい解説

目明
めあかし

御用聞,小者などともいう。江戸時代,町奉行配下の諸役人の手先として悪人探索などを助けた者。江戸では岡引 (おかっぴき) といった。犯罪者に共犯,他の悪人を指名させその罪科を相殺したことより始り,それが次第に職業化した。悪事に通じているので探索などに便利であったが,一方その地位を利用して庶民に迷惑をかけることが多かった。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android