鹿苑日録(読み)ロクオンニチロク

デジタル大辞泉 「鹿苑日録」の意味・読み・例文・類語

ろくおんにちろく〔ロクヲンニチロク〕【鹿苑日録】

京都鹿苑院歴代僧録日記。長享元年(1487)から慶安4年(1651)までの日記や詩文などを収め、当時の社会を知るうえで貴重な資料

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精選版 日本国語大辞典 「鹿苑日録」の意味・読み・例文・類語

ろくおんにちろくロクヲン‥【鹿苑日録】

  1. 日記集。一五八冊。長享元年(一四八七)から享和三年(一八〇三)に至るまでの鹿苑僧録の公用日記及び関連日件録。景徐周麟(けいじょしゅうりん)・梅叔法霖(ばいしゅくほうりん)など鹿苑院歴代の僧録の日記に詩文などを加えて辻善之助編集・命名し、慶安四年(一六五一)までを昭和九年(一九三四)以降刊行

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改訂新版 世界大百科事典 「鹿苑日録」の意味・わかりやすい解説

鹿苑日録 (ろくおんにちろく)

京都相国(しようこく)寺鹿苑院主の歴代の日記。1487-1651年(長享1-慶安4)の景徐周麟(けいじよしゆうりん),梅叔法霖(ばいしゆくほうりん),西笑承兌(さいしようしようたい),有節瑞保(ゆうせつずいほ),昕叔顕晫(きんしゆくけんたく)の日記を年代順に編集し,文書案や詩集断簡を付加したもの。彼らが僧録を務めたことから禅宗寺院の人事が詳記され,室町幕府日明貿易に関する事柄や室町末期から江戸初期の京都の社会情勢を知る上でも貴重。1934-37年に《鹿苑日録》(全6冊,辻善之助編纂)として刊行。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「鹿苑日録」の意味・わかりやすい解説

鹿苑日録
ろくおんにちろく

京都にある相国寺(しょうこくじ)鹿苑院主歴代の日記の総称。筆者は横川景三(おうせんけいさん)、景徐周麟(けいじょしゅうりん)、梅叔法霖(ばいしゅくほうりん)、有節瑞保(ゆうせつずいほ)、昕叔顕啅(きんしゅくけんたく)らで、その年代は1487年(長享1)から1651年(慶安4)に及び、文書案や詩章残篇(ざんぺん)なども含む。78冊。歴代の鹿苑院主は僧録と通称し僧事を管掌したため、五山派官寺の住持任免や寺領問題をはじめ、あらゆる僧事が詳しく記されている。そのほとんどが自筆原本であったが、大部分が関東大震災で焼失した。さいわい慈氏(じし)院にあったものを1887年(明治20)に東大史料編纂(へんさん)所が謄写本を作製しており、これを基に1934~37年(昭和9~12)に6巻に編纂して刊行された。蔭凉(いんりょう)職に実権を奪われていた僧録がふたたび僧事を担当した時期で、公用日記の性格が強く、日明(にちみん)貿易や室町末期から江戸初期の京都の社会情勢を知るうえでも貴重な史料である。

[田中博美]

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百科事典マイペディア 「鹿苑日録」の意味・わかりやすい解説

鹿苑日録【ろくおんにちろく】

京都相国(しょうこく)寺鹿苑院主歴代の執務日記。原本4冊のみ現存。1487年−1651年の日記に文書案や漢詩集の断簡などが付加されている。おもな記主は景徐周麟(けいじょしゅうりん)・梅叔法霖(ばいしゅくほうりん)・西笑承兌(せいしょうしょうたい)・有節瑞保(ゆうせつずいほ)など。1615年以前は鹿苑院院主が僧録(そうろく)を兼ねていたので,禅宗寺院の人事が詳記される。また日明貿易や室町末期から江戸初期の京都の様子をうかがううえでも貴重。続群書類従完成会が全7冊(辻善之助校訂)で刊行。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「鹿苑日録」の意味・わかりやすい解説

鹿苑日録
ろくおんにちろく

京都相国寺の塔頭 (たっちゅう) 鹿苑院の僧録司の代々の日記を中心に,文書案,詩集の断簡を加えて編集した記録集。長享1 (1487) ~慶安4 (1651) 年の記録。著者は景徐周麟,梅叔 (ばいしゅく) 法霖,西笑承兌 (しょうたい) ,有節瑞保 (ずいほう) ,昕叔顕たく (きんしゃくけんたく) など。僧録司は禅宗寺院を管理し,室町幕府から初期の江戸幕府までの政治顧問的地位にあったのでその日記は,五山僧固有の文化はもとより外交,政治,世情の貴重な情報に富んでいる。原本は一部分を除いて関東大震災で焼失。

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旺文社日本史事典 三訂版 「鹿苑日録」の解説

鹿苑日録
ろくおんにちろく

戦国〜江戸初期,京都の相国寺鹿苑院歴代の僧録司の日記
辻善之助編。全6冊。1487〜1651年にわたる日記に文書案・詩集などを加えて編集したもの。日明貿易や安土桃山時代の京坂の世情など重要な史料が多い。

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世界大百科事典(旧版)内の鹿苑日録の言及

【蔭涼軒日録】より

…前半の1435‐41年(永享7‐嘉吉1)と1458‐66年(長禄2‐文正1)が季瓊真蘂(きけいしんずい),後半の1484‐93年(文明16‐明応2)が亀泉集証(きせんしゆうしよう)の筆録である。また,《鹿苑日録》中に〈鹿苑院古文案〉として継之景俊(けいしけいしゆん)の日録が断片的に残っている。蔭涼軒は足利義持によって相国寺鹿苑院内に設けられた書院で,留守僧を置いてこれを管理した。…

※「鹿苑日録」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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