直会(読み)ナオライ

デジタル大辞泉 「直会」の意味・読み・例文・類語

なおらい〔なほらひ〕【直会】

祭事が終わってのち、供え物神酒みき神饌しんせんを下げて酒食する宴。

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精選版 日本国語大辞典 「直会」の意味・読み・例文・類語

なおらいなほらひ【直会】

  1. 〘 名詞 〙 祭りにおいて、神事の後神前にささげた神酒・神饌(しんせん)をおろして行なう共同飲食の宴会行事。また、そのおろした供え物。のうらい
    1. [初出の実例]「大新甞の猶良比(なほラヒ)豊明」(出典続日本紀‐天平神護元年(765)一一月二三日・宣命)

のうらいなほらひ【直会】

  1. 〘 名詞 〙 神事の後、神々に供えた神酒、神饌(しんせん)などをおろして行なう宴会。また、そのおろした供え物。なおらい。
    1. [初出の実例]「八月の壬辰の朔丙申に、殯の宮に嘗(ナフラヒ)たてまつる」(出典:日本書紀(720)持統元年八月(北野本訓))

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「直会」の意味・わかりやすい解説

直会
なおらい

神祭りにおいて、神に供えたものと同様の御膳(おぜん)(斎食(さいしょく))、あるいは、神に供えた神酒(みき)や神饌(しんせん)のお下がりをちょうだいする行事をいう。一般には神祭りの最後に行われることから、これは神祭りに仕えるために、斎戒(さいかい)して清浄なる状態になったのを、祭りが終わって平常に戻ること、すなわち解斎(げさい)と説かれるが、もともとは祭りのなかで斎食を頂くことであった。宮中新嘗(にいなめ)祭では、祭儀の中心において、神々との共食を直会と称し、京都の賀茂別雷(かもわけいかずち)(上賀茂)神社の御阿礼(みあれ)神事(神迎えの祭祀(さいし))では、祭場にて、神迎えに先だち、神酒と「掴(つか)みの御料(ごりょう)」(混ぜご飯のようなもの)を頂くことを直会と称しているなど、本来の直会の形式が今日もなお継承されている。直会を解斎と説いたのは本居宣長(もとおりのりなが)である。すなわち、「奈保理阿比(なほりあひ)の切(つづま)れる也(なり)、直(なほ)るとは、斎(ものいみ)をゆるべて、平常(つね)に復(かへ)る意也」(『続紀歴朝詔詞解(しょっきれきちょうしょうしかい)』)と。以来、直会と解斎とが混同されてきたのである。

[沼部春友]

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改訂新版 世界大百科事典 「直会」の意味・わかりやすい解説

直会 (なおらい)

神祭に際して,神に捧げた神饌(しんせん)をおろして司祭者や氏子のおもなものが神前で相嘗(あいなめ)すること。新嘗や大嘗の嘗の字の古訓が〈ナフライ〉〈ナムライ〉であり,直会は〈ナフリアイ〉〈ナムリアイ〉で神と人とが共食することである。この神人共食によって神と人との親密が加わり,神の守護が得られるものと考えられた。この儀礼は本来神事の根幹をなすものであったが,今日では神事終了後の宴のように解され,神饌も熟饌から,そのままでは食べられない生饌に変わるにいたった。
相嘗 →共食
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「直会」の意味・わかりやすい解説

直会
なおらい

神祭りの終了後,司祭者と氏子のおもだった者が神供を降ろして共同飲食することをいう。相嘗 (あいなむ) るの意のナムリアイがナウリアイとなまり,さらにナオライに転じたという説もあり,これによれば神人がともに食事をすることに本義が求められる。現在では神祭りが終ったあとの慰労会のように受止められているが,これは別に後宴 (ごえん) と称するもので,本来は神人共食の行為つまり直会が祭りを構成する儀式の一つであったと考えられる。特に新穀を奉って行う直会は,今日も宮中の新嘗祭 (にいなめさい) などにみられる。

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百科事典マイペディア 「直会」の意味・わかりやすい解説

直会【なおらい】

祭礼の直後,祭祀者(神職)・氏子が供えた神饌(しんせん)を下げて食すこと。直会は神と人が共食することで,これによって,忌(いみ)や斎戒を解き,平常の生活に戻る。
→関連項目秋祭供物村寄合

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葬儀辞典 「直会」の解説

直会

本来は、神前に供えたものを神と人とが共に食べること。神式の葬儀では、通夜祭や帰家祭の後、お世話になった方々の労をねぎらうために食事を用意します。

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世界大百科事典(旧版)内の直会の言及

【相嘗】より

…相饗(あいにえ)ともいう。嘗はなめる,ねぶる,味わうの意で,《日本書紀》などの新嘗(にいなめ)や大嘗祭の記事ではナフライとよまれており,転じて直会(なおらい)となる。したがって相嘗は直会と同じ意であり,神祭にさいして,神に神饌をささげ,それを司祭者・参加者がいただく神人共食の儀礼である。…

【共食】より

…共食には神と人との共食,人と人との共食がある。神と人との共食は,神に捧げた御食(みけ)(神饌)そのもの,もしくは同じものを調製し,祭りの司祭者・氏子が神前で相嘗(あいなめ)すなわち直会(なおらい)をする。神と人とが同じ食物を味わうことによって,両者の親密を強め,生活安泰の保証を得ようとするものである。…

【食事】より

…宗教行事において,神前にささげた食物や神酒を行事に参加した者どうしで共同飲食をして,神人共食をすることにより,神とのコミュニケーションをはかることも,原始宗教ではよくおこなわれた。日本の祭りにおける直会(なおらい)はその例であるし,カトリックのミサにおいてキリストの肉を象徴するパンと,血を象徴するブドウ酒がもちいられるのも,人類の罪をあがなうための犠牲獣にキリストをなぞらえたものである。 精神状態に強く作用するアルコール性飲料は,宗教行事と深いかかわりをもっている。…

【神道】より

…人々は神に対する願いを祝詞(のりと)や歌などで伝え,神は託宣やさまざまな卜占によって神意を示す。その後,神々と人々とがともに酒を飲み,御饌を食べる直会(なおらい)によって,神と人とのつながりをたしかめて,神々が祭りの場を去ると,禁忌が解かれて祭りは終わる。祭りの多くは農耕儀礼と結びついており,年頭の豊作祈願,春の農耕開始,夏の病害虫駆除,秋の収穫感謝の四つの祭りが最も主要なものであった。…

※「直会」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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