直毘霊(読み)ナオビノミタマ

デジタル大辞泉 「直毘霊」の意味・読み・例文・類語

なおびのみたま〔なほびのみたま〕【直毘霊】

江戸中期の神道書。1巻。本居宣長著。明和8年(1771)成立。宣長の神道説・国体観などの骨子を説いたもの。

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精選版 日本国語大辞典 「直毘霊」の意味・読み・例文・類語

なおびのみたまなほびのみたま【直毘霊】

  1. 江戸中期の国学書。一巻。本居宣長著。明和八年(一七七一)成立の「直霊」を改稿したもの。「古事記」の研究を通じて体得した宣長の神道説・国体観等の要旨を述べたもの。初め古事記伝」巻一の巻末に収められたが、文政八年(一八二五)に独立した単行本として刊行された。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「直毘霊」の意味・わかりやすい解説

直毘霊
なおびのみたま

本居宣長(もとおりのりなが)の古道論書。一巻。1771年(明和8)稿本(『直霊』)が成り、のち彼の主著『古事記伝』の総論の一部としてその第一巻に収められた。賀茂真淵(かもまぶち)の『国意考』と並んで復古神道古学神道)を代表する書である。日本古代こそが平和と人間性の完全な開花が実現した理想世界であり、それは神々の計らいを信じ、日神天照大神(あまてらすおおみかみ)を祖神とする代々の天皇の統治に随順した古代人の生き方によってもたらされたものであるとし、この古代人の姿こそが真の神道であると説く。それに対して、儒教仏教は人間がその限りある知恵をもってつくりだしたものにすぎず、人情に反するばかりか、人間の本性をもゆがめてしまうとして激しくこれを排斥している。

[高橋美由紀]

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改訂新版 世界大百科事典 「直毘霊」の意味・わかりやすい解説

直毘霊 (なおびのみたま)

本居宣長の国学書。《古事記伝》の第1巻〈総論〉中の一編であるが,独立性のある文章なので特にこの名がある。みずから〈此篇(このくだり)は,道といふことの論ひ(あげつらひ)なり〉といっているように,宣長の古道論の精髄を示す。日本古代にあったのは,したがうべき教義として意識されず,なんらの人智を加える必要もなかった〈物にゆく道〉であるとする信念から,ただ神意にまかせる〈惟神(かんながら)〉の道を説く。
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山川 日本史小辞典 改訂新版 「直毘霊」の解説

直毘霊
なおびのみたま

本居宣長(もとおりのりなが)の国学書。第2稿の題名は「道云事之論」。数度の推敲をへて1771年(明和8)成稿,90年(寛政2)刊行の「古事記伝」初帙の首巻に収められ流布した。「古事記」研究の方法論というべき書で,同時に宣長の古道観をもっともよく示している。日本の上代には「たゞ物にゆく道」があっただけで,それを儒教の道徳観に支配された外来の道と区別するため,便宜上「神道」と名づけたという。また,世の禍福善悪はすべて神の所為で,人為の埒外とするところなどが特色。元来,太宰春台の「弁道書」における神道批判に対する反論を動機とするともいわれるが,その漢意(からごころ)批判の舌鋒は,さらに市川匡麿(たずまろ)の「末賀能比連(まがのひれ)」をはじめ,漢学家の批判を招いた。「岩波文庫」「本居宣長全集」所収。

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百科事典マイペディア 「直毘霊」の意味・わかりやすい解説

直毘霊【なおびのみたま】

本居宣長(もとおりのりなが)著の国学書。1巻。1771年成る。《古事記伝》巻1〈総論〉中に付載されたが,独立性があり,1825年単刊された。漢意(からごころ)を排し,日本の古代にあった〈惟神(かんながら)〉の道を説く宣長の〈古道論〉の精髄が展開される。→古道学

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「直毘霊」の意味・わかりやすい解説

直毘霊
なおびのみたま

本居宣長 42歳のときの著。1巻。明和8 (1771) 年成稿。初め『古事記伝』第1巻総説に収められたが,のち単行本として刊行 (1825) 。表題は,直毘神のみたまにより,漢意 (からごころ) を祓い清めるの意。『古事記』の本質を,体系的かつ簡潔に論述したもので,宣長の「古道論」を代表する著作。

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