物理法則が、観測する座標系に依存しないことを表す原理。ガリレイの相対性原理、特殊相対性理論の相対性原理、一般相対性理論の相対性原理がある。ガリレイの相対性原理とは、等速で移動する座標系(慣性系)どうしでは物理法則が同じであるということである。ガリレイは、この相対性原理を等速で川の上を動く船のマストの上から球を落とした場合で考えた。等速で動く船上の観測者はマストの上から球が真下に落下することを観察する。一方、川岸にいて静止している観測者も同様にマストの上から球が真下に落下することを観察する。つまり、マストの上から球が真下に落下するという物理現象は、観察する人が静止していようと等速で運動していようと変わらないという、ガリレイの相対性原理を示した。このガリレイの相対性原理が成り立つ座標系間の関係をガリレイ変換とよぶ。ガリレイ変換では速度は単純に加算される。これは等速で運動している電車の中でボールを前方に投げることを考えるとわかりやすい。電車の中ではボールの速度はVbと観測される。この状況を電車の外で観測した場合、ボールの速度は電車の速度VtとVbの和として観測されるということである。しかし19世紀末に光速はいかなる座標系で測定しても不変であることが判明し、ガリレイ変換(ガリレイの相対性原理)では物理法則が成り立たないことがわかった。これは、前述の速度の加算を例にすると、電車の速度を地球の公転速度とし、ボールの速度を光速度として観測した場合、どのように精密に測定しても光速度は地球の公転速度との和としては観測されなかった、ということである。そこでアインシュタインは、光速度不変と特殊相対性原理(ローレンツ変換)を基に特殊相対性理論を提唱した。特殊相対性理論では時間と空間が一体となる四次元時空として慣性系どうしで物理法則が正確に成り立つ。さらにアインシュタインは慣性系を含む加速度系でも成り立つ相対性原理を研究し、慣性力と重力が同じであるという等価原理を用い、重力理論でもある一般相対性理論を構築した。
[山本将史 2022年3月23日]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
…ニュートンの運動方程式はどの慣性系でも同じ形をとる。これを運動方程式がガリレイ変換に対して不変であるといい,ガリレイの相対性原理と呼ぶことがある。一方,電磁気学の基礎方程式(マクスウェルの方程式)がローレンツ変換に対して不変であることが特殊相対論を導くきっかけになったが,電磁気学での慣性系もやはり互いにローレンツ変換で結びつき,そこでマクスウェルの方程式が成り立つような座標系といってよい。…
※「相対性原理」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...
12/17 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新