神仏習合思想に基づいて、中世以降の真言宗を中心に発展した仏教神道の一つ。両部(りょうぶ)神道、両部習合神道、大師流神道などともいう。密教学の基本である胎蔵界(たいぞうかい)と金剛界(こんごうかい)の両部曼荼羅(まんだら)に配される仏、菩薩(ぼさつ)、天部、明王(みょうおう)の諸尊に日本の神々を配し、曼荼羅の理によって神道の理を説き明かそうとするもので、密教学の体系の一部として布教されたので、中世以降は国民の思想と生活に大きな影響を与えた。弘法(こうぼう)大師空海が唱導し、嵯峨(さが)天皇から両部神道の名を賜ったなどと伝えるのはすべて仮託である。大師の著書に擬する『天地麗気(れいき)記』などがのちには中心の教典となっているが、その思想が現れているいちばん古い書物は1317年(文保1)に著述された『三輪大明神縁起(みわだいみょうじんえんぎ)』で、これはのちに三輪神道を発展させることとなった。ことに伊勢(いせ)の内宮(ないくう)と外宮(げくう)を胎蔵界と金剛界の大日如来(だいにちにょらい)にあてることを骨格として説明するものが多いので、南北朝時代ごろから外宮の神主度会(わたらい)氏は、つねに内宮よりも下位にあった外宮の地位を高めるために、両部神道の理論を応用していわゆる神道五部書を著した。さらにこれを聖典とする伊勢神道も盛んとなり、後の吉田神道などを生む素地ともなっている。いわば中世から近世にかけての理論神道の中心をなす宗教思想である。
[景山春樹]
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