瞬膜(読み)シュンマク(その他表記)nictitating membrane

デジタル大辞泉 「瞬膜」の意味・読み・例文・類語

しゅん‐まく【瞬膜】

目の角膜とまぶたとの間にある薄膜。伸縮する半透明ひだで、必要時に角膜上を覆って保護する。鳥類両生類爬虫はちゅう類・サメ類ではよく発達し、哺乳類では退化している。

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精選版 日本国語大辞典 「瞬膜」の意味・読み・例文・類語

しゅん‐まく【瞬膜】

  1. 〘 名詞 〙 多く脊椎動物のまぶたの内面にそって発達した薄い結膜のひだ。空中水中を移動する際に、角膜上をおおって眼球を保護する。鳥類・両生類・爬虫類・サメ類によく発達し、哺乳類では退化してわずかに残る。〔医語類聚(1872)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「瞬膜」の意味・わかりやすい解説

瞬膜 (しゅんまく)
nictitating membrane

まぶたの下にあり,眼球前面を横切って開閉できる透明な薄膜で,第三眼瞼(がんけん)third eyelidともいう。この薄膜の機能はまぶたの機能とほぼ同じで,開閉することによって角膜を湿らせ,また角膜上の異物を除去する。しかし,まぶたが上下に開閉するのに対し,瞬膜は通常前から後へ動いて角膜をおおう。瞬膜はある種のサメ類,無尾両生類,多くの爬虫類,鳥類などに存在するが,哺乳類では退化している。爬虫類や鳥類では,まぶたは休息や睡眠中に眼を閉じるのに主として使われ,大部分のまばたきは瞬膜が行っている。飛行中の鳥は,角膜が直接空気にふれて乾燥することを防ぐために,瞬膜が角膜をおおったままの状態になっているといわれる。また,ある種の潜水鳥(アビ,海ガモ,ウミスズメなど)では,瞬膜の中央に屈折率の異なったレンズ様の窓があり,水中における眼の焦点調節を助けている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「瞬膜」の意味・わかりやすい解説

瞬膜
しゅんまく

目の角膜と瞼(まぶた)の間に存在する薄膜をいい、脊椎(せきつい)動物のうち、サメ類、無尾両生類、爬虫(はちゅう)類、鳥類にみられる。結膜のひだとして生じ、目の内角より発して角膜上に広がっている。瞬膜には瞬膜腺(せん)またはハルダー腺とよばれる皮脂腺に類似の腺があり、その分泌液は角膜と瞬膜の摩擦を少なくする。哺乳(ほにゅう)類では瞬膜は内角に痕跡(こんせき)的に残り、結膜半月ひだ(けつまくはんげつひだ)とよばれ、瞬膜腺も退化している。

[八杉貞雄]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「瞬膜」の意味・わかりやすい解説

瞬膜
しゅんまく
nictitating membrane

ネコやある種の魚類,無尾両生類 (カエル類) ,多くの爬虫類,ほとんど全部の鳥類が眼球にもつ半透明の膜。角膜をおおい,角膜の保護作用をする。その運動は膜中に含まれる平滑筋繊維による。交感神経によって支配されており,上頸神経節から出る神経繊維の刺激は筋の収縮を起し,膜は縮む。ヒトにはないが,痕跡化した半月ヒダがある。

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世界大百科事典(旧版)内の瞬膜の言及

【鳥類】より

…したがって,レンズがヒトのものより柔らかく,調節筋はよく発達している。そのうえ,多くの鳥では調節力をいっそう大きくするために角膜の凸度も調節でき,アビや海ガモ類では瞬膜(まぶたの下にあって角膜を覆うことのできる透明な膜)が一種の補助レンズの働きをしている。 鳥の視力がすぐれているのは,主として視細胞の数が非常に多いことによる。…

【まぶた(瞼)】より

…爬虫類では,多くは上と下のまぶたのどちらも可動性であるが,目を閉ざすのは普通下のまぶたである。爬虫類,鳥類,および哺乳類では,第3のまぶたである瞬膜が発達する。瞬膜は内側上方から外側下方へ動いて角膜を清掃し,湿りけを与える働きをする。…

※「瞬膜」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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