排中律(読み)ハイチュウリツ(その他表記)law of excluded middle

デジタル大辞泉 「排中律」の意味・読み・例文・類語

はいちゅう‐りつ【排中律】

排中原理

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精選版 日本国語大辞典 「排中律」の意味・読み・例文・類語

はいちゅう‐りつ【排中律】

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] law of excluded middle の訳語 ) 伝統的形式論理学で、根本原理一つ。二つの相矛盾する命題のどちらかに真理が存することをいう。その形式は「AはBであるか、Bではないかのどちらかである」。また、現代論理学では任意の命題について、それ自身かその否定かのいずれか一方が正しくなるとする主張をいう。排中原理。〔論理学(1916)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「排中律」の意味・わかりやすい解説

排中律 (はいちゅうりつ)
law of excluded middle

命題pに対して〈ppでないかのいずれかである〉ことを要求する法則。排中原理,排中法ともいい,論理的原理の一つに数えられてきた。肯定と否定の中間を認めない点から,その名称が生じた。この原理からは,〈pの否定〉をさらに否定すれば,〈pの肯定〉が結果することになるから,二重否定は肯定に帰着するという二重否定律が得られることになる。それゆえ,二重否定律とともに,伝統的な論理の体系を特徴づけるものと考えられている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「排中律」の意味・わかりやすい解説

排中律
はいちゅうりつ
law of the excluded middle

任意の命題に対して、それが成り立つか、成り立たないかいずれか一方であって、その中間はないことを述べた論理学の法則。記号を用いると、A<~A(AあるいはAでない)がいかなる命題Aに対しても成り立つという主張であると考えてよい。あるいは、いかなる命題も真か偽のいずれかであるというように定式化することもできよう。矛盾律と同様、排中律は古代においてすでに知られていた論理学の法則であるが、近代論理学の発達に伴って、それがかならずしも妥当するものではないという考えがしだいに有力となってきた。実際、数学や論理学を構成的に展開しようという直観主義、あるいは命題の真理値は真と偽に限られるものではないという多値論理立場にたつと、排中律は一般に成り立つ論理学の法則ではない。

[石本 新]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「排中律」の意味・わかりやすい解説

排中律
はいちゅうりつ
law of excluded middle

形式論理学の用語。あるものについて,その肯定と否定とがある場合,一方が真ならば他方は偽,他方が真ならば一方は偽であり,その両方のどちらでもない中間的第三者は認められないという論理法則をいう。「第三者拒斥の原理」とも呼ばれる。古典論理学では,排中律は同一律や矛盾律とともに論理学の根本原理の一つとしてあげられたが,現代の記号論理学では公理の資格をもたず,公理から導出される一定理にすぎない。また多値論理学の場合では,「第三者拒斥の原理」までは否定されるが,そこで用いられる論理値に1を加えたものには拒斥の原理が認められる。

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百科事典マイペディア 「排中律」の意味・わかりやすい解説

排中律【はいちゅうりつ】

論理学用語。排中原理,排中法ともいい,英語ではlaw of excluded middle。命題Aに対して〈AかAでないかのいずれかである〉ことを求める法則。同一律矛盾律と並ぶ三大原理の一つ。

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世界大百科事典(旧版)内の排中律の言及

【論理法則】より

…人間の思考が従うべきもっとも一般的かつ基本的な法則,というのが論理法則の伝統的な理解である。そして論理法則を代表する論理学の根本原理として,同一律,矛盾律,排中律の三原則が挙げられるのが通例であった。同一律は〈AAである〉と,矛盾律は〈Aかつ非Aでない〉と,排中律は〈Aまたは非A〉と表現される法則である。…

※「排中律」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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