知立(読み)チリュウ

デジタル大辞泉 「知立」の意味・読み・例文・類語

ちりゅう〔ちりふ〕【知立】

愛知県中部の市。もと東海道五十三次の池鯉鮒ちりふ宿。近年工業化・住宅地化が著しい。東部にある八橋やつはし伊勢物語にも名所として詠まれた。カキツバタの群生地。人口6.8万(2010)。

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精選版 日本国語大辞典 「知立」の意味・読み・例文・類語

ちりゅうちりふ【知立】

  1. 愛知県中央部の地名。江戸時代、東海道五十三次岡崎と鳴海の間の池鯉鮒(ちりふ)宿として発展。また、三河木綿の集産地として栄えた。現在は名古屋市近郊の住宅都市無量寿寺のカキツバタは有名。昭和四五年(一九七〇市制。知利布。池鯉付。

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改訂新版 世界大百科事典 「知立」の意味・わかりやすい解説

知立[市] (ちりゅう)

愛知県中部の市。1970年市制。人口6万8398(2010)。《文徳実録》仁寿1年(851)10月7日の条に〈知立神〉とあるのが地名の初見で,《和名抄》には〈智立〉とあり,江戸時代は一般に池鯉鮒と書いた。古くからの交通要地で,中世は鎌倉街道が通り,近世は東海道の宿場町としてにぎわった。明治期に東海道本線の駅設置を避けたため一時停滞したが,大正期に名鉄名古屋本線と三河線の交差点となり,勢いをとりもどした。1977年住宅公団知立団地の完成に伴って人口が急増し都市化が進んだ。古くから馬市や三河木綿の市場町として栄えてきたため,岡崎に次ぐ西三河の商業中心になっている。工業紡績,機械などに代わって78年以降輸送機器の製造品出荷額が首位を占めるようになった。重要文化財の多宝塔をもつ知立神社,カキツバタで有名な無量寿寺がある。《伊勢物語》に記された東部の八橋は歌枕として知られる。
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江戸品川より39番目の東海道宿駅。1601年(慶長6)東海道宿駅として発足。〈池鯉鮒宿御用向諸用向覚書帳〉によると,宿内の長さ12町35間,宿内は山町,中町,本町,西町の四町よりなり,幅3間6寸の街道は北西から途中,中世の知立城跡付近で曲折して,東へ延びる。町並みの両端に木戸が設けられ,木戸から外は松並木が続く。西は泉田・一ッ木境まで,東は牛田境までが池鯉鮒宿の管轄である。山町は宿のいちばん東の町で,馬市場に近く,1725年(享保10)まで山番所と市番所がおかれていた。中町には1800年(寛政12)ころ問屋場があった。本町には本陣があった。1800年の池鯉鮒宿は,家数297,本陣1,脇本陣1,旅籠屋45,飯売63,小商人36,人数1576。1868年(明治1)宿駅役所は駅逓役所に改められた。現在,知立市の中心街を占める。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「知立」の意味・わかりやすい解説

知立(市)
ちりゅう

愛知県中央部にある市で、岡崎平野中央に位置する。1970年(昭和45)市制施行。名古屋鉄道本線と同三河線、国道1号、23号、155号、419号が交差する交通の要地で、2004年(平成16)には衣浦(きぬうら)豊田道路が全線開通した。もと池鯉鮒(ちりふ)と書き、江戸時代旧東海道の宿駅(池鯉鮒宿)として栄えた。木綿市(もめんいち)、馬市も立ち、芭蕉(ばしょう)も「不断たつ池鯉鮒の宿の木綿市」と詠んでいる。近年は工業化、住宅化が著しく、名古屋への通勤者も多い。知立神社は延喜(えんぎ)式内社で西三河一の大社。多宝塔は国の重要文化財に指定され、例祭日には隔年に「山車(だし)文楽」と「からくり」(ともに国指定重要無形民俗文化財およびユネスコの無形文化遺産)が上演される。県の名勝「八橋伝説地(やつはしでんせつち)」は平安初期の歌人在原業平(ありわらのなりひら)がカキツバタの折句の歌を詠んだ所で、近くにある無量寿寺(むりょうじゅじ)はカキツバタの庭で有名、境内に八橋史跡保存館がある。面積16.31平方キロメートル、人口7万2193(2020)。

[伊藤郷平]

『『池鯉鮒宿覚書帳』(1971・知立市)』『『知立市史』全3巻(1976~1979・知立市)』


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百科事典マイペディア 「知立」の意味・わかりやすい解説

知立[市]【ちりゅう】

愛知県中部の市。1970年市制。江戸時代は池鯉鮒と書き東海道宿場町として栄えた。名鉄の本線と三河線の交点にあり,輸送用機器,金属製品などの工業が盛んであるが,市域面積が狭いため大規模工場は少ない。1960年代に住宅団地が造成され,都市化が進んでいる。知立神社は三河二宮で,池鯉鮒大明神とも呼ばれる。16.31km2。6万8398人(2010)。

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