精選版 日本国語大辞典 「硫化水銀」の意味・読み・例文・類語
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水銀の硫化物で、一価および二価水銀の化合物が知られている。
(1)硫化水銀(Ⅰ) 塩化水銀(Ⅰ)Hg2Cl2に-10℃以下で硫化水素を作用させると黒色、不安定な粉末として得られる。化学式Hg2S、式量433.2。常温の水溶液ではただちに不均化して、
Hg22++H2S→Hg+HgS+2H+
のように分解する。
(2)硫化水銀(Ⅱ) 赤色の安定なα(アルファ)態と黒色の準安定なβ(ベータ)態との二つが存在する。化学式HgS、式量232.7。
[中原勝儼]
天然に辰砂(しんしゃ)として産し、顔料として用いられるときは朱(しゅ)という。水銀を五硫化カリウムK2S5水溶液と熱するか、黒色硫化水銀を昇華すると得られる。朱赤色結晶性粉末(六方晶系)。硬さ2~2.5。580℃で昇華する。空気中では徐々に暗色となる。水、酸に不溶。硫化アルカリ、水酸化アルカリ水溶液に難溶。王水に溶ける。顔料のほか軟膏(なんこう)として皮膚病の治療に用いられる。
[中原勝儼]
黒辰砂として天然に産することもある。水銀(Ⅱ)塩水溶液に硫化水素を通じて沈殿させてつくる。黒色の粉末(立方晶系)。446℃で昇華する。水、酸に不溶。硫化アルカリ水溶液にはチオ塩をつくって溶ける。水酸化アルカリ水溶液にも溶け、王水によく溶ける。
[中原勝儼]
【Ⅰ】硫化水銀(Ⅰ):Hg2S(433.25).塩化水銀(Ⅰ)を-10 ℃ 以下に冷して硫化水素と二酸化炭素を反応させると得られる.黒色の結晶.密度8.35 g cm-3.0 ℃ 以上で硫化水銀(Ⅱ)と水銀に分解する.水や酸に不溶.【Ⅱ】硫化水銀(Ⅱ):HgS(232.66).黒色,等軸晶系のβ形と,赤色,六方晶系のα形がある.天然産のβ形は黒しん砂とよばれる.塩化水銀(Ⅱ)の水溶液に硫化水素を通じるとβ形が得られる.密度7.7 g cm-3.昇華点446 ℃.β形は準安定な化合物で,濃厚な硫化アルカリ水溶液で処理するか,昇華させるとα形にかわる.天然に産出するα形は,しん砂,丹砂,朱砂とよばれる.密度8.09 g cm-3.昇華点580 ℃.水,エタノール,硫酸などにはほとんど溶けない.硫化アルカリ,王水に可溶.結晶はらせん軸が存在するため大きな旋光能をもつ.医薬品(皮膚病薬),赤色顔料(朱,バーミリオン)に用いられる.有毒ではあるが,きわめて難溶のため,毒性は低い.[CAS 1344-48-5]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報
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