出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
北海道南西部、渡島(おしま)支庁(現、渡島総合振興局)管内にあった旧町名(恵山町(ちょう))。現在は函館(はこだて)市の東南部を占める一地区。1964年(昭和39)町制施行した尻岸内町(しりきしないちょう)が1985年に名称変更して恵山町となる。2004年(平成16)戸井町(といちょう)、南茅部町(みなみかやべちょう)、椴法華村(とどほっけむら)とともに函館市に編入。旧称の「尻岸内」は、アイヌ語の「シリキシラリナイ」(岸壁に形像のある川の意)の転訛(てんか)。旧町域は、渡島半島南東部の亀田(かめだ)半島に位置し、津軽海峡に面する。東部には恵山があり、山地がちで、南流する尻岸内川、古武井(こぶい)川が沖積地をつくり、耕地が開ける。国道278号が通じる。1720年(享保5)ごろ陸奥(むつ)の西村善次郎により移住が始まった。ホッケ、スケトウダラ、コンブ漁などが中心の漁業が盛んである。恵山のほか恵山岬、国民保養温泉地に指定されている恵山温泉郷、日浦(ひうら)海岸があり、一帯は恵山道立自然公園域で観光客が多い。恵山南西麓(ろく)に続縄文文化遺跡の恵山貝塚がある。
[瀬川秀良]
北海道南西部、亀田(かめだ)半島の東端にある二重式火山。函館市(はこだてし)の東端に位置する。基底は第三紀層で、外輪山は海向山、椴山などの溶岩円頂丘からなり、中央火口丘は外輪山の東縁に位置する恵山溶岩円頂丘で、標高618メートル。中央火口丘はその西方に爆裂火口を開き、硫気孔から活発な噴気活動を続ける。標高300メートルの火口原は御殿とよばれ、寒暖両帯の植物が豊富でガンコウラン、ツツジ、イワマツなど130余種の高山植物が群生する。南西麓(ろく)に恵山温泉がある。恵山温泉から山頂まで徒歩約2時間。
[瀬川秀良]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
北海道南部,亀田半島の南東端にある二重式火山。基盤は第三紀層で,外輪山の直径は2km。標高400~460mの溶岩や砕屑物(さいせつぶつ)より成る成層火山である。中央火口丘は外輪山の東縁に位置する溶岩円頂丘(618m)である。火口壁の東と南は欠ける。火口原は標高300mで御殿(みどの)と呼ばれ,寒暖両帯の植物が豊富で,ガンコウラン,ツツジ,イワマツなど130種以上の高山植物が群生している。1846年(弘化3)には泥流を伴う噴火によって多数の死傷者を出した。この山の南中腹には恵山温泉(原田温泉)があり,安政年間(1854-60)から湯治場として利用されたといわれる。昭和初期までは火口原に旅館がある代表的な地獄温泉の一つであったが,今日ではこの温泉跡地から山腹の旅館まで自然流下で温泉を引いている。緑バン泉,40~45℃。前方に津軽海峡を望み,背後に恵山を控えた温泉地として近年は観光客も増えつつある。
執筆者:奥平 忠志
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…1846年(弘化3)には泥流を伴う噴火によって多数の死傷者を出した。この山の南中腹には恵山温泉(原田温泉)があり,安政年間(1854‐60)から湯治場として利用されたといわれる。昭和初期までは火口原に旅館がある代表的な地獄温泉の一つであったが,今日ではこの温泉跡地から山腹の旅館まで自然流下で温泉を引いている。…
…村名はアイヌ語の〈トーポケ(岬の陰)〉に由来。東端の恵山(えさん)岬が太平洋に突き出し,活火山恵山(618m),丸山(691m)などが隣接する恵山町との境にある。山林が村域の大部分を占め,山地が迫る海岸沿いに集落が散在する。…
…朝鮮半島の最北部内陸の地方。朝鮮民主主義人民共和国に属し,1954年に咸鏡南道(咸鏡道)から分離して新設され,道都は恵山市。朝鮮最高峰の白頭山を境として,鴨緑江,豆満江を挟んで北に中国と接する国境地帯である。…
※「恵山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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