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磁電管 じでんかんmagnetron

翻訳|magnetron

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

磁電管
じでんかん
magnetron

電子流の制御に磁場と電場を併用するマイクロ波発生用の電子管マグネトロンともいう。線状の熱陰極と円筒形の陽極を同軸に配置して,軸方向に磁場を加える。臨界磁場以上になると,陰極から出た電子は陽極との間の空間を回転して,高周波の電気振動を発生する。 1921年アメリカの A.ハルが磁場によって電子流を制御できることを発表したことからこの研究が始った。臨界磁場の近傍で生じる振動をA型振動と呼び,その周期は電子が管内を1回転する時間におよそ等しい。初め1個の円筒であった陽極は,27年に岡部金治郎によって軸方向に2分割されて,A型振動よりも強力で安定なB型振動が導入され,その後種々の分割陽極磁電管がつくられた。ことに第2次世界大戦中,軍用として重要になり,短波長,大出力の空洞磁電管の開発に努力が払われた。マイクロ波レーダ,工業用の加熱,家庭用の電子レンジに用いられている。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

磁電管
じでんかん

マイクロ波を発生させる電子管。マグネトロンmagnetronともいう。円筒形の陽極と、その円筒の同心軸を陰極とし、軸方向に一様な磁場を加えたもので、陰極から放出された電子のサイクロイド運動により電磁波を発生させる。1921年にアメリカのA・W・ハルが提案し、37年(昭和12)に岡部金治郎が陽極を多分割することにより実現した。第二次世界大戦中アメリカでレーダー用として陽極の構造に種々改善がなされ、今日の形にまで進展した。
 陽極は高周波損失が少なく、熱伝導性のよい銅ブロックでつくられ、ブロック内に溝付きの共振空胴がうがたれており、その形によって旭日(きょくじつ)形(Sunrise)、交互短絡梅鉢形(strapped Sunrise)などとよばれた。陰極から放出された電子は、管内をサイクロイド運動をするが、ある磁界では陽極に達せず周回し、空胴の溝の近くを通るとき、空胴と共振する電波を発生し、円周上に電場の定在波(定常波)をつくる。この定在波は互いに逆方向に進む進行波の合成と考えることができるので、進行波の速度と電子流の速度が一致すると、陽極の分割数の半数の電子群による電子極が形成される。このとき、電子は、誘導により直流源で与えられたエネルギーを回路に与え、速度を減ずるとともに陽極に達しながら持続的なマイクロ波を発生する。磁電管は、電子レンジに使われる数百ワットの連続発振用のものから、レーダーなどのパルス発生用の数百万ワットのものがあり、波長が2~3ミリメートルのミリ波用のものもある。[岩田倫典]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典内の磁電管の言及

【マグネトロン】より

…磁電管ともいう。1921年アメリカのハルA.W.Hull(1880‐1966)が発明,その後岡部金次郎により発展させられた。…

※「磁電管」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報

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