示差熱分析(読み)シサネツブンセキ(英語表記)differential thermal analysis

デジタル大辞泉 「示差熱分析」の意味・読み・例文・類語

しさ‐ねつぶんせき【示差熱分析】

熱分析法の一。試料と、熱的に安定なアルミナ石英などの標準物質とを一定速度加熱し、両者温度差から試料の定性分析定量分析などを行うもの。DTA

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精選版 日本国語大辞典 「示差熱分析」の意味・読み・例文・類語

しさねつ‐ぶんせき【示差熱分析】

  1. 〘 名詞 〙 試料と基準物質とを同時に加熱してゆくとき、両者の間におこる温度の差をはかって試料の性質を知ろうとする分析法。

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改訂新版 世界大百科事典 「示差熱分析」の意味・わかりやすい解説

示差熱分析 (しさねつぶんせき)
differential thermal analysis

略称DTA。試料の熱変化の大きさと温度を測定する実験方法。試料と熱的不活性体(通常アルミナ)を隔離して電気炉中に置き,両者を同じ状態のもとで加熱する。試料と不活性体は複熱電対で結んであるので,各温度について両者の間の温度差を測定できる。試料に脱水,変態などの熱的変化を生ずると温度差が現れ,吸熱または発熱反応として記録される。この方法は粘土鉱物の研究に広く用いられているが,他の硫化物酸化物・各種塩類の研究,金属工学における相図の作成,反応熱反応速度の測定などにも利用されている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「示差熱分析」の意味・わかりやすい解説

示差熱分析
しさねつぶんせき
differential thermal analysis

加熱に伴って変化する物質の物性検知,利用する研究法と熱分析の総称。試料物質とともに発熱,吸熱の熱変化をもたない安定な標準物質を一定の速度で加熱しながら,両者の間に生じた温度差を検出記録し,その結果から試料の熱的特性を解析する熱分析の一部門である。 1887年 H.ル・シャトリエによって始められた。基準物質としては酸化アルミニウム塩化カリウムなどを用い,温度または時間と温度差をプロットした示差熱曲線をつくる。発熱,吸熱反応に応じて,示差熱曲線上にそれぞれ山,谷が現れ,物質に固有の形状を示すので,粘土鉱物や炭酸塩などの定性に用いることができる。示差熱曲線のピークの面積と試料物質の量との間には,一定の関係がある場合があり,これは定量分析に利用される。反応熱や反応速度の測定に利用することもある。

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百科事典マイペディア 「示差熱分析」の意味・わかりやすい解説

示差熱分析【しさねつぶんせき】

鉱物などの多形転移,脱水,融解の温度を知る方法。これらの変化は一定温度で起こる吸熱・発熱反応であるから,高温までこの種の変化を起こさない基準物質と試料物質をそれぞれホルダに入れ,電気炉中で熱しながら二つの試料の温度差を計ると,試料物質に相転移や脱水・融解などが起こった温度が簡単にわかる。粘土鉱物の種類を同定するような場合に有用。
→関連項目熱分析

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化学辞典 第2版 「示差熱分析」の解説

示差熱分析
シサネツブンセキ
differential thermal analysis

略称DTA.基準物質と試料とを同時に一定の温度上昇率で加熱し,両者の間の温度差から試料の熱的性質を解析する方法.試料に相転移,分解,酸化,還元,融解などの化学変化が起こると,それに相当する温度のところで熱の放出,吸収が伴うことを利用した分析法である.基準物質としてはその温度範囲で化学変化が起こらないこと,熱伝導がよいことが必要である.温度の変化図はDTA曲線とよばれる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

栄養・生化学辞典 「示差熱分析」の解説

示差熱分析

 示差熱分析法ともいう.試料と基準物質を同じ条件のもとにおき,同一条件で加熱もしくは冷却して両者の温度の変化を時間もしくは温度に対して記録して,試料の特性を知る方法.

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世界大百科事典(旧版)内の示差熱分析の言及

【熱分析】より

…このような実験方法を総称して熱分析という。試料を一定速度で加熱しながら,熱分解や結晶水の分離などに伴う質量変化を直接熱てんびん(天秤)で測定する熱重量分析thermogravimetric analysisと,脱水,変態など試料の変化に伴う吸熱または発熱を測定する示差熱分析が広く利用される。また,滴定に際して反応熱による滴定溶液の温度変化を測定して滴定の終点を求めることもできる。…

※「示差熱分析」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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