積る(読み)ツモル

デジタル大辞泉 「積る」の意味・読み・例文・類語

つも・る【積(も)る】

[動ラ五(四)]
物が次々に重なって高くなる。一面に多くたまる。「雪が―・る」「ほこりが―・る」
物事が少しずつたまって多くなる。次々と加わってふえる。「不平が―・る」「―・る思い」「―・る話」
時や日が重なる。時間が経過する。「日数が―・る」
あらかじめ計算をして見当をつける。値段数量などを概算する。見積もる。「工事費を―・ってみる」「安く―・っても一万円をくだらない品」
推測する。おしはかる。「人の心を―・る」
酒宴で、この酌で終わりにする。おつもりにする。
「盃の手もとへよるの雪の酒―・る―・ると言ひながら飲む」〈徳和歌後万載集・四〉
見抜いてだます。見くびってばかにする。
「さりとは憎いと言はうか、―・られたと申さうか」〈浮・万金丹・三〉
[類語]重なる降る盛る積む重ねる積み重ねる積み上げる折り重なる降り積もる山積み山積さんせき堆積累積

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「積る」の意味・読み・例文・類語

つも・る【積】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙
    1. かさなってかさが高くなる。幾重にも積みかさなる。かさなる。かさむ。
      1. [初出の実例]「寝る夜落ちず 夢(いめ)には見れど 現にし 直にあらねば 恋しけく 千重に都母里(ツモリ)ぬ」(出典:万葉集(8C後)一七・三九七八)
      2. 「それぞれに子といふものに身躰相応の費、さし当って目には見えねど、年中につもりて」(出典:浮世草子・世間胸算用(1692)一)
    2. 回数をかさねる。たびかさなる。
      1. [初出の実例]「丹さんがいつもしみじみ離れがたない兼言の、つもる仇吉丹次郎と、命をかけた二人が中」(出典:人情本・春色辰巳園(1833‐35)三)
    3. 加わって量がふえる。増加する。たまる。あつまる。
      1. [初出の実例]「祭の儀式・有様、世の常ならずめでたく参らせ給。つもれる人、〈略〉と心の中に思余りけるを」(出典:栄花物語(1028‐92頃)紫野)
    4. 時や日がかさなる。時がたつ。時間が経過する。年月が過ぎる。
      1. [初出の実例]「あさゆふのみにはそへどもあら玉のとしつもりゆく我ぞかなしき」(出典:兼輔集(933頃))
    5. 酒宴で、この酌で終わりにする。おつもりにする。
      1. [初出の実例]「馳走ぶりもよきかつもらぬ霙酒(みぞれざけ)〈清玄〉」(出典:俳諧・口真似草(1656)四)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 ラ行五(四) 〙
    1. あらかじめ見はからって計算する。見積もる。概算する。見当をつける。
      1. [初出の実例]「魏代にはじめて度支の官ををいたぞ。度ははかるとよむぞ。物をつもりけつげすることを本にする官ぞ」(出典:玉塵抄(1563)六)
      2. 「なかなか手間に賃金を当て算量(ツモル)事にはあらず」(出典:随筆・北越雪譜(1836‐42)初)
    2. 推量する。推測する。推察する。想像する。
      1. [初出の実例]「見物の武家に、つもらるるもはづかしく」(出典:談義本・当世下手談義(1752)一)
      2. 「ナニサ隠すどこじゃアねへ。此容(すがた)だものを、よくつもって見るがいい」(出典:人情本・春色梅児誉美(1832‐33)初)
    3. 見すかしてだます。一杯くわす。見くびってばかにする。
      1. [初出の実例]「去施主に誓書の手におふて、つもられたるよし、都を経たるとも、おぼへられず」(出典:評判記・赤烏帽子(1663)岩村勘彌)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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