重なる(読み)カサナル

デジタル大辞泉 「重なる」の意味・読み・例文・類語

かさな・る【重なる】

[動ラ五(四)]
ある物の上に、さらにそれと同類の物が載る。幾重にも層をなす。「人が―・って倒れる」
ある物事に、さらにそれと同類の物事が加わる。
㋐同じ事が繰り返し起こる。たびかさなる。「―・る惨事」「不幸が―・る」
複数の物事が同時に一緒になる。かち合う。「用事が―・る」「日曜祝日が―・る」
[類語](1積もる盛る積む重ねる積み重ねる積み上げる折り重なる降り積もる山積み山積さんせき堆積累積/(2続く相次ぐたび重なる継起する続発する連発する続出する

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「重なる」の意味・読み・例文・類語

かさな・る【重】

  1. 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙
  2. あるものの上に、他のものが添い加わる。
    1. [初出の実例]「蠅(はへ)有りて聚集る。其の凝(こ)り累(カサナレ)ること十丈(とつゑあまり)ばかり」(出典:日本書紀(720)推古三五年五月(図書寮本訓))
    2. 「御衣に、直衣はかなくかさなれるあはひも」(出典:源氏物語(1001‐14頃)蛍)
  3. あるもののうしろに、他のものが続き加わる。物や人が次々と後方に位置して連なって見える。
    1. [初出の実例]「百官(つかさつかさ)〈略〉羅列(つらな)りて匝(カサナ)りて拝(をか)みたてまつる」(出典:日本書紀(720)孝徳即位前(北野本訓))
    2. 「福原は山へだたり江かさなて」(出典:平家物語(13C前)五)
  4. あることの上に、さらに他のことが添い加わる。また、同じ物事が繰り返される。歳月の繰り返しにもいう。
    1. [初出の実例]「雨降らず 日の可左奈礼(カサナレ)ば」(出典:万葉集(8C後)一八・四一二二)
    2. 「節を隔ててよごとに金(こがね)ある竹を見つくる事かさなりぬ」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
    3. 「月日のかさなるにしたがひて」(出典:平家物語(13C前)二)
  5. 物事が豊かになったり、深まったりする。
    1. [初出の実例]「所にぎはひ国かさなり、御代万歳(ばんぜい)なりしとかや」(出典:仮名草子可笑記(1642)五)
  6. 二つ以上の物事が同じ時にかち合う。同時に起こる。
    1. [初出の実例]「お祭が初まり出すと、〈略〉日によると二つも三つも重(カサ)なることが珍らしくない」(出典:東京年中行事(1911)〈若月紫蘭〉五月暦)

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