積む(読み)ツム

デジタル大辞泉 「積む」の意味・読み・例文・類語

つ・む【積む】

[動マ五(四)]
物の上にさらに物を置く。次々と重ねる。「うずたかく―・まれた商品」「ブロックを―・む」
運ぶために車や船などに荷をのせる。「トラックに新米しんまいを―・む」「原油を―・んだタンカー
物事を繰り返し行う。重ねてする。「練習を―・む」「経験を―・む」
たくわえる。ためる。「巨万の富を―・む」「定期預金に―・む」
しだいに高く重なる。つもる。「降り―・む雪」
[可能]つめる
[用法]つむ・かさねる――「煉瓦れんがを積んで(重ねて)塀を作る」など、同種の物を上に置くの意では相通じて用いられる。また、「練習を積む(重ねる)」のように、同種の事柄を繰り返す意でも相通じて用いられる。◇「積む」はある物の上に何かを数多く置くこと。「煉瓦を積む」のように同質の物を置く場合も、「車に荷物を積む」のように異質の物を載せる場合もある。後者の場合「重ねる」で置き換えられない。◇「重ねる」は同質の他の物を添え加えること。上に載せていくとは限らない。「紙を重ねてとじる」「着物を重ねて着込む」「失敗を重ねる」などを「積む」で置き換えることはできない。また、「重ねてお願いします」も「積む」では置き換えられない。
[類語]盛る重ねる上積み下積み底積み船積み積み重ねる積み上げる折り重なる積もる重なる降り積もる山積み山積さんせき堆積累積

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「積む」の意味・読み・例文・類語

つ・む【積】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 マ行五(四) 〙 重なって次第に高くなる。つもる。また、物事がたびたび起こったり行なわれたりする。
    1. [初出の実例]「鳴く鶏はいや重(し)き鳴けど降る雪の千重に積(つめ)こそわれ立ちかてね」(出典:万葉集(8C後)一九・四二三四)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 マ行五(四) 〙
    1. 置いてあるものの上に重ねて置く。次第にもりあげる。次々に重ねる。また、ある物をうずたかく置く。
      1. [初出の実例]「斉しくあらずは、剗(けづ)りて斉平にあら令む応し。若し燥かば、積(ツム)応し」(出典:小川本願経四分律平安初期点(810頃))
      2. 「韻塞ぎすべきに、集ども選り出でて、こなたなる厨子につむべきことなどのたまはせて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)浮舟)
    2. 船や車などに、荷を載せる。
      1. [初出の実例]「舟二百隻を以って石上(いそのかみ)の山(やま)の石を載(ツム)て流(あみ)の順(まにまに)宮の東山に控引(ひ)く」(出典:日本書紀(720)斉明二年九月(北野本訓))
    3. ふやす。増す。また、物事をたび重ねて行なう。
      1. [初出の実例]「慶(よろこひ)を積(ツミ)、暉重(かさ)ね多(さは)に、年所(とし)を歴(へ)たり」(出典:日本書紀(720)神武即位前甲寅(北野本訓))
    4. 集め貯える。ためる。貯蓄する。
      1. [初出の実例]「庫(つはものくら)を起(た)てて箭を儲(ツム)」(出典:日本書紀(720)皇極三年一一月(岩崎本訓))
    5. 神などに捧げる。

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