突き目(読み)つきめ

精選版 日本国語大辞典 「突き目」の意味・読み・例文・類語

つき‐め【突目・突眼】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 点景などの小さな人物の目を筆先で点を打って描くこと。また、そのようにして描かれた目。
    1. [初出の実例]「硯の墨に紅葉みだるる 突目よりこぼす泪は水の穐〈初知〉」(出典:俳諧・物種集(1678))
  3. 角膜異物がささり、そこに小さな傷ができて細菌が感染しておこる化膿性潰瘍。角膜の濁り、痛み、まぶしさ、涙などを主症状とし、進行すると黒目に穴があく。江戸時代、民間療法では乳を滴らせると治るとされた。
    1. [初出の実例]「折々は突目の起る天気相〈里圃〉」(出典:俳諧・続猿蓑(1698)上)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「突き目」の意味・わかりやすい解説

突き目
つきめ

目を突くことによる外傷であるが、一般には角膜の突き傷から細菌が侵入しておこる化膿(かのう)性角膜炎、別名匐行(ふくこう)性角膜潰瘍(かいよう)をさす。角膜上皮が健全であれば通常の化膿菌は角膜に侵入できない。しかし、上皮が欠損した部分は菌の侵入門戸となる。菌は突いた物体に付着したもののこともあり、また結膜嚢(のう)に寄生的に存在した菌のこともある。往時には木の枝やイネの葉先による刺傷など農業従事者によくみられた。慢性涙嚢炎などで菌が存在する場合は準備状態にあるといえる。潰瘍部で角膜が穿孔(せんこう)して炎症が眼内に及ぶと、全眼球炎となって失明する。早期に病原菌を調べ、有効な抗生物質を局所および全身に用いて治療を行う。

内田幸男

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百科事典マイペディア 「突き目」の意味・わかりやすい解説

突き目【つきめ】

角膜中央部の小外傷に化膿菌が感染して起こる細菌性角膜潰瘍一種。イネの葉先,ムギののぎ,逆まつ毛などの突き傷によることが多いのでこの名がある。異物感,流涙,まぶしさ,痛みなどがあり,角膜に混濁を生じ,進行すれば前眼房に膿(うみ)がたまり,ついには角膜は穿孔(せんこう)し,虹彩(こうさい)が脱出し,失明に至る。早期の抗生物質の投与,点眼が有効で,近年では重症例は少ない。角膜に混濁が残るときは角膜移植を行う。

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