笠山(読み)かさやま

日本歴史地名大系 「笠山」の解説

笠山
かさやま

[現在地名]萩市大字椿東 越ヶ浜

日本海に突出したこしはま半島にある標高一一二・二メートルの死火山。頂上直径と深さがともに約三〇メートルの噴火口が残る。山名は形が市女笠に似ていることによるという。

「地下上申」には笠山と出、また「奈古屋山」とも記される。江戸時代は藩の御立山であったが、その方向が萩城の鬼門に当たるので鬼門除けに猿を放養し、一般人の立入りを禁じた。この猿は毎日一定時刻に飼育係の猿飼合図で東麓の明神みようじん池のほとりに集まり、餌を求めた。延宝八年(一六八〇)当地を訪れた深川ふかわ(現長門市)大寧たいねい寺の無隠はその様子を「拍手群猿求食来、熟視吾顔如有怪」と詠んだ(八江萩名所図画)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「笠山」の意味・わかりやすい解説

笠山
かさやま

山口県北部,萩市西部の越ヶ浜半島上の小丘。標高 112m。玄武岩からなる。砂州によって陸繋島化し,山麓明神池(国指定天然記念物)と数ヵ所の風穴がある。山頂に小噴火口があり,北東斜面にコウライタチバナ自生地(国指定天然記念物)がある。北長門海岸国定公園に属する。笠山を含む阿武火山群気象庁が定義する活火山に指定されている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「笠山」の意味・わかりやすい解説

笠山
かさやま

山口県北部、萩(はぎ)市街北方の日本海に臨む小半島。低い玄武岩台地の上に噴火口をもつ砕屑丘(さいせつきゅう)がのる二重式の小火山が、砂州で本土につながった陸繋島(りくけいとう)をなす。標高112メートル。東麓(とうろく)には海魚が群生し、干満のある明神(みょうじん)池や夏も冷涼な風穴(ふうけつ)があり、山頂は展望に優れる。登山道も整備され、北長門(きたながと)海岸国定公園の一部をなす。北麓には国指定天然記念物のコウライタチバナがあり、ツバキが群生する原生林もある。

三浦 肇]


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