強制執行の目的物について,所有権など執行を妨げうる権利をもつ第三者が,強制執行の排除を求める訴え(民事執行法38条)。たとえば,Aの所有動産をBが保管している場合に,Bの債権者がその動産を差し押さえることがある。差押えを実施する執行機関は,目的物が債務者の財産に属するという外観があれば執行を開始し,真実の権利関係を確かめるわけではないので,このような事態が生じうる。そこで,目的物の所有権を主張するAの側からこの訴えを提起させて,裁判所が真実の権利関係を判定しようというのが,第三者異議の訴えの趣旨である。
近時問題にされているのは,所有権留保あるいは譲渡担保など,所有権移転の形式をとった担保権者が,目的物件についてこの訴えを提起できるかどうかである。主張される所有権が担保目的にすぎないことを理由にして否定するのが一般的な傾向である。
執筆者:伊藤 真
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当該執行の第三者たる原告の権利を害してなされた、特定財産に対する強制執行の排除を目的とする訴え。強制執行は、債務名義またはこれに付記する執行文に債務者として表示された者の財産に対してのみ実施できるのであるから、それ以外の者に対する強制執行によって、誤って自己の財産について執行を受けた第三者があれば、その者は執行債権者を相手方として、執行の目的物に関する第三者異議の訴えを提起し、当該財産に対する強制執行を許さない旨の判決を求めることができる(民事執行法38条1項)。第三者異議の訴えの異議事由は「目的物について所有権その他目的物の譲渡又は引渡しを妨げる権利」である(同法同条1項)。これは、第三者が、執行の目的物につき有する権利が当該強制執行により侵害され、かつ第三者がこのような侵害を受忍すべき法律上の理由がない旨を主張することを意味するものである。なお、債務者が第三者の主張する異議事由を争うときは、債務者をも共同被告とすることができる(同法同条2項)。
[内田武吉]
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…たとえば,債務名義に表示された請求権がすでに消滅している場合は,執行は是認されず,債務者には〈請求異議の訴え〉という救済手段が与えられる。また,第三者の所有物に対する執行も不当執行であり,これに対しては第三者が〈第三者異議の訴え〉(38条)を提起することができる。これらの訴えが提起されても,当然には,執行は停止されないが,裁判所は,一定の要件の下に執行の停止を命じることができる(36条。…
※「第三者異議の訴え」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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