筆跡鑑定(読み)ひっせきかんてい

百科事典マイペディアの解説

筆跡鑑定【ひっせきかんてい】

普通は犯罪鑑識に用いられるものをいう。筆跡と性格の関係を研究する筆跡学(筆跡心理学)や古文書学から発展した。差出人不明の脅迫文書や偽造文書の筆跡が容疑者のものか否かを,配字形態,筆勢・筆圧,筆順字画形態,字画構成などの特性を比較対照して,総合的に判定する。証拠として利用されることも少なくない。

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世界大百科事典 第2版の解説

ひっせきかんてい【筆跡鑑定】

複数の筆跡を比較・対照して,それらの筆者が同じであるか否かを鑑別すること。筆者識別ともいう。文字の外形,部分の構成,配字,筆順,字画,形態,字画構成,運筆状態,筆圧などに現れる筆跡個性や,誤字,誤用,仮名づかい,あるいは表記方法などを分析し,それらを総括して筆者の異同識別を行う。筆跡鑑定では,個人内に固定化している筆跡個性が繰返し現れることを筆跡の恒常性といい,固定化した筆跡個性が他人のものと異なっていることを筆跡の希少性というが,それらの存在が前提となって鑑定が行われる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

筆跡鑑定
ひっせきかんてい

筆跡鑑定とは、二つ以上の筆跡間において、筆跡の個人内の恒常性(書く人がいつも示す、だいたい同じような特徴)と希少性(書く人によって異なる、独特の癖とか特徴)の存在を識別し、それらの筆者が同一人であるか否かを判断することをいう。筆跡鑑定の検査方法は、一般に資料の筆跡が自然筆か作意筆か、書字技術はどの程度か、偽筆の疑いはどうか、対照資料は適切かなどを検査し、ついで詳細に字画構成、字画形態、筆順、配字、筆圧、筆勢、誤字、誤用などを識別する。さらには、文字を分解して共通部首間の比較を行う分解識別法もある。これらの各識別検査を総合判断し、両資料間に希少性が高く、恒常性のある特徴が認められる場合は、両資料の筆跡は同一人の書いたものと判断される。一方、希少性と恒常性のある特徴が認められず、さらに鑑定資料中にない希少性が対照側にある場合は異筆であると判断される。近年は、主観的な要素を少なくし、科学性を与えようとする試みから、コンピュータを利用した文字のフーリエ解析(任意のX、Y軸より文字の筆順に従いX、Y座標を読み、そのX、Y座標をコンピュータへ入力後、コンピュータによってフーリエ解析し文字のパターンを打ち出す方法)やモアレトポグラフィー法(モアレ縞(しま)を利用して筆圧痕(こん)のような凹(くぼ)み文字や筆圧を測定する方法)などが研究されている。[杉江秀明]

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