フーリエ解析(読み)フーリエカイセキ

デジタル大辞泉 「フーリエ解析」の意味・読み・例文・類語

フーリエ‐かいせき【フーリエ解析】

フーリエ級数フーリエ変換などを用いて、関数性質を調べたり、種々の信号に含まれる周波数成分を解析したりする数学的手法、および研究分野。応用数学物理学電気工学音響学など、幅広い分野で用いられる。

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改訂新版 世界大百科事典 「フーリエ解析」の意味・わかりやすい解説

フーリエ解析 (フーリエかいせき)
Fourier analysis

フーリエ級数,フーリエ変換(ふーりえへんかん)などを用いて関数の性質を研究し,種々の応用を論ずる分野をフーリエ解析という。実験によって数値的に与えられた関数のフーリエ級数を求める方法は調和解析といわれる。相異なる周期調和振動の和は必ずしも周期関数でないので,一般に関数の値からこのかくれた周期を見つけることを周期解析という。これらもフーリエ解析の分野である。

 (-∞,∞)上で可積分な関数fに対して,

tの連続関数である。このf^fのフーリエ変換という。fが(-∞,∞)上で2乗可積分ならば,任意のa>0に対して,が定義され,

となる関数f^t)が存在し,(-∞,∞)上で2乗可積分で,このf^fのフーリエ変換という。一般に(2)が成立するとき,と書いてf^af^平均収束するという(記号l.i.m. はlimit in meanと読む)。またこのとき,もとの関数ff^を使って,と表され(プランシュレルの定理),パーセバルの等式,が成立する。f有限区間(-π,π)上で2乗可積分な関数のとき,上の事実に対応して次のことがいえる。

とおくと,フーリエ級数の部分和,はもとの関数fに平均収束し,パーセバルの等式,が成立する。また,なる任意の数列{an}に対して,はある2乗可積分な関数fに平均収束してパーセバルの等式が成立する。

 (-∞,∞)上の連続関数fがあって,任意の有限個の実数t1t2,……,tn複素数α1,α2,……,αnに対して,となるとき,fを正の定符号関数または正型関数という。任意の正の定符号関数fに対して,(-∞,∞)上の単調増加右連続関数σ(λ)でα(-∞)=0なるものがただ一つ定まって,

が成立する(ボホナーの定理)。逆に(3)で表される関数fは正の定符号関数である。この事実に対応する数列の場合の結果は次のとおりである。数列{an|-∞<n<∞}において,任意のnと任意の複素数α1,α2,……,αnに対して,となるとき,{an}を正の定符号数列または正型数列という。正の定符号数列{an}は,[-π,π]上の単調増加右連続関数σ(λ)でσ(-π)=0なるものにより,と一意的に表される(ヘルグロッツの定理)。逆にこの式で与えられる数列{an}は正の定符号数列である。

 σ(λ)が(-∞,∞)上で有界変動かつ右連続な複素数値関数のとき,(3)と同形式,

は,ft)を調和振動eiλtの重ね合せとして表したものと考えられる。逆に,ft)を与えて,それの固有振動成分の振幅σ(λ)-σ(λ-0)を求めるのが調和解析の問題である。これに関して次の定理が成立する。

(1)ft)が(3′)の形に表されるためには,

となることが必要かつ十分である。

(2)(3′)のfに対し,任意のλ0において,

とくにσ(λ)がλ=λ0-δおよびλ=λ0+δ(δ>0)において連続ならば,

(3)(3′)において有界変動関数σ(λ)の不連続点をλ1,λ2,……とし,σn=σ(λn)-σ(λn-0)(n=1,2,……)とすると,

 フーリエ解析はN.ウィーナーによってタウバー型定理にも応用された。タウバー型定理とは,べき級数に関するアーベルの定理の逆に当たるもので,収束半径が1のべき級数Σanznにおいて,an=0(1/n)であって,

 が存在するならば,となるという定理である。ウィーナーは次の定理(ウィーナーの一般タウバー型定理という)を示し,それから上記の本来のタウバー型定理を導いた。

 (-∞,∞)で有界な関数px)と定数cがあって,(-∞,∞)上で可積分でそのフーリエ変換f^t)がすべての実数tで0にならないような一つの関数fに対して,となるならば,(-∞,∞)上で可積分な任意の関数gに対して,が成立する。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のフーリエ解析の言及

【正弦波】より

…一般の複雑な波形をもつ波は,周期,波長の異なる多くの正弦波を重ね合わせて合成することができる。任意の波形の波を正弦波に分解する方法はフーリエ解析と呼ばれ,波動現象の理論に多く用いられる。波動【有山 正孝】。…

※「フーリエ解析」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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