筒井康隆(読み)ツツイヤスタカ

デジタル大辞泉 「筒井康隆」の意味・読み・例文・類語

つつい‐やすたか〔つつゐ‐〕【筒井康隆】

[1934~ ]小説家大阪の生まれ。パロディーブラックユーモア現代風刺し人気を博す。「虚人たち」で泉鏡花文学賞、「夢の木坂分岐点」で谷崎潤一郎賞、「ヨッパ谷への降下」で川端康成文学賞受賞。他に「七瀬ふたたび」「大いなる助走」「朝のガスパール」「わたしのグランパ」など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「筒井康隆」の意味・わかりやすい解説

筒井康隆
つついやすたか
(1934― )

小説家。大阪生まれ。同志社大学文学部卒業。デザイン会社に勤務のかたわら創作を手がけ、1964年(昭和39)処女短編集『東海道戦争』を刊行、文筆生活に入る。翌年、処女長編『48億の妄想』を発表。以後、SF的趣向の軽妙な風刺とブラック・ユーモアを利かせた作風を築く。自伝的アンチ・ロマンの『脱走追跡サンバ』(1971)、超能力者の目からみた市民生活を描く『家族八景』(1972)、文学賞選考の内幕パロディー化した『大いなる助走』(1979)などがあり、実験的手法により現代の虚妄を描いた『虚人(きょじん)たち』(1981)で泉鏡花賞を受ける。ほかに現代文学理論と私立大学教授生態をパロディにした『文学部唯野(ただの)教授』(1990)などがある。

厚木 淳]

『『筒井康隆全集』全24巻(1984~85・新潮社)』

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百科事典マイペディア 「筒井康隆」の意味・わかりやすい解説

筒井康隆【つついやすたか】

小説家。大阪市生れ。同志社大文学部卒。《東海道戦争》(1965年),《48億の妄想》などの風刺性の強いSF小説で文壇に出る。超現実的なドタバタ,言葉遊び,パロディ,またパソコン通信上に小説を開くなど,実験的な試みを次々に繰り出した。初期のショートショート《無人警察》の教科書採用の際,作品中の一部が差別表現であるとして問題になったことにからみ,1993年〈断筆宣言〉,差別表現と表現の自由をめぐって賛否両論を巻き起こした。1996年末,執筆再開。代表作に《脱走と追跡のサンバ》《家族八景》《時をかける少女》《虚航船団》《文学部唯野教授》のほか,泉鏡花賞《虚人たち》,谷崎潤一郎賞《夢の木坂分岐点》,日本SF大賞《朝のガスパール》など。2002年紫綬褒章受章。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「筒井康隆」の意味・わかりやすい解説

筒井康隆
つついやすたか

[生]1934.9.24. 大阪
小説家。同志社大学卒業。学生時代から SF小説を書く。 26歳で SF同人誌『NULL』を創刊し『お助け』を発表,『宝石』に転載される。 1965年の『東海道戦争』『48億の妄想』で話題となり,のち『ベトナム観光公社』 (1967) ,『家族八景』 (72) などが直木賞候補となる。最初の文学賞は『虚人たち』 (81) の泉鏡花賞。その後『虚航船団』 (84) ,『夢の木坂分岐点』 (87) などで作家としての地位を確立。『文学部唯野教授』 (90) は知のファッション化の時代を風刺して広く読まれた。現代日本文学の新方向への開拓者の一人として注目される。 93年 10月,差別表現への糾弾が過激化する社会風潮に抗議するとして断筆宣言。『筒井康隆全集』 (24巻,83~85) がある。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「筒井康隆」の解説

筒井康隆 つつい-やすたか

1934- 昭和後期-平成時代の小説家。
昭和9年9月24日生まれ。現代社会をパロディーやブラックユーモアで風刺した作品で人気をえる。昭和56年「虚人たち」で泉鏡花文学賞,平成4年「朝のガスパール」で日本SF大賞。5年教科書掲載作品の表現がてんかん差別を助長すると指摘されたことに端を発して断筆を宣言,のち解除した。12年「わたしのグランパ」で読売文学賞。22年菊池寛賞。大阪出身。同志社大卒。作品はほかに「家族八景」「文学部唯野(ただの)教授」など。

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367日誕生日大事典 「筒井康隆」の解説

筒井 康隆 (つつい やすたか)

生年月日:1934年9月24日
昭和時代;平成時代の小説家;俳優

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