江戸後期の儒学者。大坂生まれ。名を弼、字(あざな)は承弼(しょうひつ)、通称長左衛門といい、小竹のほかに畏堂(いどう)、南豊(なんぽう)の号がある。篠崎三島(さんとう)(1737―1813)について古文辞学(こぶんじがく)を学び、その養子となる。のち尾藤二洲(びとうじしゅう)、古賀精里(こがせいり)から朱子学を受けた。仕官を好まず大坂の家塾を継いで、頼山陽(らいさんよう)、田能村竹田(たのむらちくでん)ら多くの文人と親交を結んだ。その書は中国元(げん)・明(みん)の書法に学び、やがて唐の書にさかのぼって独自の世界を築いている。詩文にも優れた才を発揮した。
[久保木彰一 2016年5月19日]
江戸後期の漢詩人,儒者。大坂の人。名は弼,字は承弼,通称は長左衛門。小竹は号。別号畏堂など。医家に生まれ,詩人篠崎三島(1737-1813)の養子となった。若いころ江戸に出て古賀精里らに朱子学を学び,帰坂してからは養父に代わって門人の教育に当たった。その家塾を梅花塾といい,多数の門人を擁して幕末大坂の有力な教育機関の役割を果たした。養父の三島は大坂最初の漢詩結社である片山北海の混沌社の成員として著名であったが,小竹の名声は養父をしのいだ。頼山陽,田能村竹田,草場佩川,藤井竹外などの当代の文人と親交を結び,大坂で書物を出版しようとする者は争って小竹の序文を請うたと伝えられて,幕末の大坂随一の名士であった。詩集に《小竹斎詩鈔》がある。
執筆者:日野 竜夫
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(水田紀久)
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