米川敏子(読み)ヨネカワ トシコ

新撰 芸能人物事典 明治~平成 「米川敏子」の解説

米川 敏子
ヨネカワ トシコ


職業
箏曲家(生田流),作曲

肩書
生田流箏曲研箏会家元 重要無形文化財保持者(箏曲)〔平成8年〕

本名
江藤 敏子(エトウ トシコ)

旧名・旧姓
米川

生年月日
大正2年 2月2日

出生地
兵庫県 姫路市

学歴
牛込高女〔昭和6年〕卒

経歴
地歌筝曲家で、生田流箏曲研箏会を創設した米川琴翁(親敏)の長女。大正5年父に箏・三弦を学び、10年初舞台。昭和6年より平岡次郎に作曲を師事。23年独立して麗調会を主宰。弟・親利の没後、57年3代目家元として研箏会を継承。古典演奏の他に、作曲家として新作を意欲的に発表した。また、演劇や舞踊の付随音楽の作曲、テレビ、ラジオ、映画での作曲・演奏・指導にも力を発揮した。平成8年人間国宝、15年文化功労者に選ばれる。作曲作品に「苔水」「御羽車」「“智恵子抄”より―千鳥と遊ぶ智恵子」「祝」など。また演奏を集成したものに、平野健次監修「米川敏子全集」がある。

所属団体
日本三曲協会,生田流協会

受賞
日本芸術院賞(第58回 平13年度)〔平成14年〕,文化功労者〔平成15年〕 紫綬褒章〔昭和58年〕,勲四等宝冠章〔平成1年〕 芸術祭賞奨励賞〔昭和28年〕「“智恵子抄”より―千鳥と遊ぶ智恵子」,芸術祭賞優秀賞〔昭和53年・57年〕,松尾芸能賞〔昭和59年〕,モービル音楽賞(第19回)〔平成1年〕,芸術作品賞(文化庁 レコード部門)〔平成7年〕,伝統文化ポーラ賞(特賞 第16回)〔平成8年〕,新宿区名誉区民〔平成9年〕 日本文化連盟コンクール第1位文部大臣賞〔昭和18年〕

没年月日
平成17年 12月13日 (2005年)

家族
父=米川 琴翁(箏曲家),弟=米川 親利(箏曲家),二女=米川 裕枝(箏曲家)

親族
叔母=米川 文子(箏曲家),伯母=米川 暉寿(箏曲家),叔父=米川 正夫(ロシア文学者)

伝記
完全なる音楽家―初代・米川敏子の音楽と生涯 徳丸 吉彦,福田 千絵 著(発行元 出版芸術社 ’07発行)

出典 日外アソシエーツ「新撰 芸能人物事典 明治~平成」(2010年刊)新撰 芸能人物事典 明治~平成について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「米川敏子」の意味・わかりやすい解説

米川敏子(1世)
よねかわとしこ[いっせい]

[生]1913.2.2. 兵庫,姫路
[没]2005.12.13. 東京,港
地歌生田流箏曲家,作曲家。本名江藤敏子。米川親敏(のち米川琴翁)の長女として生まれる。親敏の異母姉に貞(のち米川暉寿),妹に 1世米川文子がいる。幼少より父に三弦を学ぶ。1929年牛込高等女学校を卒業。1931年より平岡次郎に作曲法を師事。1948年より麗調会を主宰したが,1981年弟の米川親利没後,父が創立した研箏会を継ぎ両者をあわせ 1982年4月,3代目家元継承披露演奏会を催す。若い頃より柔軟な感性を備え,楽器の音色の美しさに定評があった。古典のみならず,新作も含めて,演奏会,放送,レコード,舞踊,演劇の舞台などジャンルをこえた幅広い演奏活動をするとともに,『御羽車』『祝』『智恵子抄より―千鳥と遊ぶ智恵子』など自作も数多く発表。1978年度芸術祭賞優秀賞受賞。1996年重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定。2003年文化功労者。評伝に徳丸吉彦・福田千絵著『完全なる音楽家 初代米川敏子の音楽と生涯』(2007)がある。二女米川裕枝が 2世敏子を継いだ。(→箏曲

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「米川敏子」の解説

米川敏子(初代) よねかわ-としこ

1913-2005 昭和-平成時代の地歌・箏曲(そうきょく)家。
大正2年2月2日生まれ。米川琴翁の長女。父に生田流の箏と三弦を,平岡次郎に作曲をまなぶ。昭和23年独立して麗調会を主宰,57年父の創立した研箏会と合併し3代家元となる。作品に「千鳥と遊ぶ智恵子」「苔水」などがある。平成8年人間国宝。14年芸術院賞。15年文化功労者。平成17年12月13日死去。92歳。兵庫県出身。牛込高女卒。本名は江藤敏子。

米川敏子(2代) よねかわ-としこ

1950- 昭和後期-平成時代の地歌・箏曲(そうきょく)家。
昭和25年生まれ。母の初代米川敏子に箏曲,地歌三絃を学ぶ。昭和48年NHK邦楽技能者育成会を卒業。平成7年芸術選奨文部大臣新人賞。10年日本伝統文化振興財団賞。16年エクソンモービル音楽賞(邦楽部門)。古典から現代曲まで幅広く活躍し,海外での演奏も多い。19年2代米川敏子を襲名。23年紫綬褒章。27年芸術院賞。東京都出身。本名は後藤裕枝。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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