日本大百科全書(ニッポニカ) 「粕屋」の意味・わかりやすい解説
粕屋(町)
かすや
福岡県中西部、糟屋郡にある町。1957年(昭和32)大川(おおかわ)、仲原(なかばる)の2村が合併して町制施行し改称。『和名抄(わみょうしょう)』にも加須也として記載されている古い地名で、郡名にもなっている。東部は低い丘陵地であるが、西に向かって多々良(たたら)川、須恵(すえ)川の形成する沖積低地が広がり、JR篠栗(ささぐり)線、香椎(かしい)線、国道201号が通じる一方、東部を九州自動車道、北部を福岡都市高速4号が走り、福岡インターチェンジで接続する。かつては小炭鉱のある水田農業地域であったが、1960年代に入り北部を東西に走る国道201号沿いに工場や倉庫が進出し、商工業町に変化するとともに、福岡市の郊外として住宅地化も進行した。長者原(ちょうじゃばる)南方に、福岡平野最大の灌漑(かんがい)用溜池(ためいけ)である駕与丁池(かよいちょういけ)がある。また東部の大隈(おおくま)には丸山城跡がある。面積14.13平方キロメートル、人口4万8190(2020)。
[石黒正紀]
『南石武編『粕屋要録』(1968・史跡保存同好会)』